2010 Fiscal Year Annual Research Report
メラニン生成関連遺伝子及び紫外線によるメラニン生成の制御機構
Project/Area Number |
20591357
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
伊藤 祥輔 藤田保健衛生大学, 名誉教授 (70121431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 一雅 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (80131259)
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Keywords | メラノサイト / ユーメラニン / フェオメラニン / メラノブラスト / ケラチノサイト / メラノソーム / 化学分析 / メラニン |
Research Abstract |
連携研究者である放射線医学総合研究所の広部知久の研究室で作成された、C57BL/10JHir系統のチョコレート色の毛色を持ちルビー色の目をしたルビーアイ様突然変異マウスの遺伝的交配実験からこの突然変異は常染色体の劣性突然変異であることがわかった。マウスの尾の皮膚からRNAを抽出してcDNAを調べたところ、これはルビーアイ2(ru2/Hps5)遺伝子の一塩基欠失突然変異体であることがわり、この新規突然変異遺伝子(ru^<2d>)が毛色を薄くする機構を知るため、無血清初代培養したメラノブラスト・メラノサイトの増殖・分化の特徴をブラックと比較した。その結果、ru^<2d>遺伝子はメラノブラスト・メラノサイトの増殖に影響を与えなかったが、メラノブラストからメラノサイトへの分化を顕著に抑制した。チロシナーゼ活性、TRP1やTRP2の発現、ユーメラニン量、第IV期メラノソーム数が減少した。このようなru^<2d>遺伝子によるメラノサイトの分化抑制が毛色を薄くすると思われる。実際に毛のユーメラニン量はブラックの約1/3であった。MDMD培養液で培養したru^<2d>メラノサイト中のユーメラニン量はブラックの1/19以下であったが、培養液中のユーメラニン量は、ブラックより3倍以上多かった。L-チロシン添加により、ru^<2d>メラノサイト由来の培養液中ユーメラニン量は7倍以上増加した。一方、ブラック由来の培養液中ユーメラニン量は、L-チロシン添加によっても増加しなかった。対照的に、培養メラノサイト中のフェオメラニン量は、ブラックとru^<2d>の間で差はなかったが、L-チロシン添加では、ブラック、ru^<2d>メラノサイトの両方ともフェオメラニン量を2.5倍増加させた。また、培養液中のフェオメラニン量はブラック、ru^<2d>で差はなかったが、L-チロシン添加処理によりru^<2d>のフェオメラニンの増加量は、ブラックよりも小さかった。初代培養開始から培養液にL-チロシンを加えて培養するとメラノサイトの分化が顕著に促進され、チロシナーゼ活性、TRP-1やTRP-2の発現、ユーメラニン量、第IV期メラノソーム数が顕著に増加したことから、ru^<2d>遺伝子はメラノサイトの分化を抑制し、ユーメラニンの生成を抑制するが、それはL-チロシンの輸送あるいは利用に関係していると思われ、過剰のL-チロシンによりその減少した分化は元に戻ることがわかった。
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