2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト毛嚢におけるS100A3の脱イミノ化反応の生理的機能とその応用
Project/Area Number |
20591358
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
川田 暁 Kinki University, 医学部, 教授 (90160986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 教授 (30122063)
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Keywords | S100A3 / Ca^<2+>結合蛋白質 / ヒト毛嚢キューティクル / 脱イミノ化 / シトルリン残基 / 架橋反応 / トランスグルタミナーゼ |
Research Abstract |
平成20年度の研究により、ヒトS100A3は毛嚢において生合成された後、同組織に局在する脱イミノ化酵素によりEFハンド領域の構造が変化し、本来のCa^<2+>結合蛋白質として機能すること、またその際4量体への移行が伴うことが明らかとなった。S100A3はキューティクルを構成する蛋白質の10数%を占める蛋白質であり、毛髪の硬質化にとって不可欠な蛋白質と推定される。そこで本研究では、S100A3が脱イミノ化を受けた後、硬質化する反応として、トランスグルタミナーゼによる架橋反応を検討する必要があると判断した。トランスグルタミナーゼ反応にはCa^<2+>が不可欠であり、脱イミノ化S100A3がCa^<2+>結合蛋白質へと転換することは合目的でもある。このような作業仮説に基づき、本年度は脱イミノ化S100A3を基質とする架橋反応について詳細に検討した。架橋反応酵素としてヒト組換え型トランスグルタミナーゼ(名古屋大学人見清隆先生から供与を受けた)を用い、架橋反応はS100A3へのプトレシンの架橋導入による蛍光反応並びに高分子量化をSDS-PAGEを用いて測定した。その結果、非脱イミノ化および脱イミノ化S100A3とも顕著な架橋反応を受けることはなかった。従って、S100A3の脱イミノ化-架橋化が連動して起こることによるキューテイクル組織の硬質化の可能性は低いものと判断し、S100A3の脱イミノ化の生理機能の解明には更なる検討が必要である。
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