2008 Fiscal Year Annual Research Report
スパイン・ダイナミクスの障害を基盤とした難治性うつ病の病態解明と新規治療法開発-BDNF-LIMK1シグナルを制御するマイクロRNAの発現・機能を中心に-
Project/Area Number |
20591368
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森信 繁 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30191042)
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Keywords | BDNF / LIMK-1 / microRNA / スパイン / 海馬 / 母子分離 / 学習性無力 / うつ病 |
Research Abstract |
うつ病発症感受性が亢進した、母子分離(NI)ラットを用いて、うつ病発症に関与するマイクロRNA(miR)機構の解析を行った。 1)NIラット海馬のmiR-134発現の解析:NIラットの成長後に海馬を摘出し、以下の方法でmiR-134発現の比較を行った。mirVana miRNA Isolation Kit(AmBion)を用いてmiRを抽出後、TaqMan MicroRNA Reverse Transcriptation Kit(Applied Biosystems)によるcDNA化を行い、TagMan microRNA Assays(Applied Biosystems)と7900HT Fast real-time PCRシステムを用いてmiR-134発現の解析を行った。NI群(n=8)とsham群(n=8)との間で、有意な発現の違いは見られなかった。 2)NIによるラット海馬miR発現への影響の解析:NI群(n=6)とsham群(n=6)の各群から上記の方法にてmiRを抽出後、各群ごとにmiRをpoolしてcDNAへの逆転写を行った。その後は7900HT Fast real-time PCRシステムとTaqMan MicroRNA Assayを用いて、NI群とsham群との間で148種類のsmall RNAの発現の差を解析した。その結果、BDNF mRNAの翻訳を3'非翻訳領域から抑制するmiR-103,107の発現が、NI群で顕著に亢進していた。同時に転写因子Zebl mRNAの翻訳を3'非翻訳領域から抑制するmir-200family(miR-141,200a,200c,429)が、NI群で顕著に減少していた。 このように母子分離ラット海馬でmiR発現の変化がみられたことは、その標的となる遺伝子の発現も変動している可能性があり、標的遺伝子の発現を解析すべきと考える。
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Research Products
(2 results)