2009 Fiscal Year Annual Research Report
スパイン・ダイナミクスの障害を基盤とした難治性うつ病の病態解明と新規治療法開発
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20591368
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森信 繁 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30191042)
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Keywords | BDNF / IMK-1 / microRNA / スパイン / 海馬 / 母子分離 / 学習性無力 / うつ病 |
Research Abstract |
研究課題1)難治性うつ病動物モデルを用いた海馬錐体細胞の形態変化に関する研究 うつ病モデルである学習性無力(LH)からの回復が遅延することから、難治性うつ病と考えられる母子分離(NI)ラットのLH持続状態を作製して、海馬錐体細胞のスパイン形態をGolgi染色法にて解析した。正常飼育ラットと比較を行ったところ、錐体細胞のスパイン密度に有意な変化はなかったが、スパインの長さがNI群にて有意に長くなっていた。 研究題題2)難治性うつ病動物モデルを用いたBDNF受容体情報系の解析 NIラットの成長後にLH試験を行いLHとなったNIラット海馬を対象に、BDNF受容体TrkBの発現及びチロシン・リン酸化の解析を行った結果、NI+LH群では正常飼育+non LH群に対してチロシン・リン酸化の有意な減少がみられた。同時にmTORの発現をreal-time PCR法にて解析した結果、NI+LH群では有意に発現が減少していた。なおproBDNFの受容体であるp75 mRNAの発現を同様に解析したが、特に有意な変化はなかった。 研究課題3)難治性うつ病に対する新規治療法開発のための基礎的研究 NIラットの成長後にLH試験を行いLHとなったラットを対象に、電気ショック処置(ECS)を7回(1回/1日)施行し、BDNFやTrkB発現の変化を解析した。その結果、NI+LH群でもBDNF mRNA,BDNFタンパク発現の亢進は見られたが、正常飼育+non-LH群の発現亢進と比較すると有意に小さい変化であった。TrkB mRNAの変化も、同様の結果であった。 このような本年度の研究結果は、難治性うつ病の病態メカニズムにBDNF-TrkB情報系の機能低下を介したスパインの形態変化が、密接に関与している可能性を示唆していると思われる。
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Research Products
(3 results)