2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス脆弱性モデル動物における神経形態学的変化と神経可塑性異常の検討
Project/Area Number |
20591369
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
渡辺 義文 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90182964)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 周作 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10403669)
末次 正知 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (40294631)
|
Keywords | ストレス脆弱性 / 神経可塑性 / モデル動物 / 神経新生 |
Research Abstract |
本研究では、うつ病の神経可塑性障害仮説(ストレス適応破綻状態から脳内の神経可塑性が障害され、神経細胞死・神経新生障害が生じ、結果としてうつ状態を呈する。抗うつ薬はその神経可塑性障害を抑制・回復させる。)をストレス脆弱性モデル動物であるFischer344(F344)ラットを用いて検証することを目的とする。 平成20年度は、F344ラットに軽度の慢性ストレスを負荷し、引き起こされるストレス適応破綻状態における神経可塑性関連遺伝子群発現量、ならびに海馬神経新生への影響を検討した。その結果、F344ラットは慢性ストレス負荷に対して視床下部室傍核における神経可塑性マーカー遺伝子であるc-fos mRNAおよびリン酸化型CREB発現量が非ストレス群に比べて有意に増大していた。さらに海馬歯状回における増殖細胞数を免疫染色法とウェスタンブロット法を用いて検討したところ、慢性ストレス負荷後のF344ラットにおける増殖細胞数は非ストレス群に比べて有意に低下していた。 以上の結果から、F344ラットにおける慢性ストレス負荷後の神経可塑性異常が示唆された。これは、ストレス脆弱性動物さらにはうつ状態における神経可塑性異常の存在が強く示唆され、気分障害発症機序の一端の解明に繋がる可能性があり、本研究結果の精神医学的意義は大きい。
|