2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591371
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
穐吉 條太郎 Oita University, 医学部, 准教授 (00159344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 健介 大分大学, 医学部, 助教 (60398261)
花田 浩昭 大分大学, 医学部, 助教 (80444884)
松下 裕貴 大分大学, 医学部, 助教 (70448546)
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Keywords | 不安 / obestatin / GPR39 / アンチセンス / レセプター |
Research Abstract |
【背景】近年、消化管ホルモンと精神疾患との関連性が徐々に明らかになってきている。本研究で着目したGPR39は、G蛋白質共役型受容体のひとつで、リガンドが未知のオーファン受容体とされていたが、「GPR39のリガンドは消化管ホルモンのオベスタチンであり、オベスタチンは食欲を抑制する」との論文が近年発表され、注目を浴びるようになった。【目的】GPR39には、GPR39-1aとGPR39-1bというバリアントがあるが、このうちGPR39-1aが消化管にしか存在していないのに対し、GPR39-1bは消化管のほか、扁桃体や海馬など脳内にも発現している。扁桃体は不安などの情動行動に関連しており、GPR39もこの扁桃体の働きに関与している可能性がある。このGPR39と情動行動との関連について明らかにすることが、本研究の目的である。【方法】GPR39-1bのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Infusion kit及びosmotic minipumpを用いて、ラット側脳室内に持続投与し、ラット脳内でのGPR39-1bの発現を抑制した。その対照として、アンチセンス配列と同じ塩基数で、配列の順序を入れ替えたスクランブル配列を投与した群と、何も投与しないコントロール群を準備した。それぞれ、1週間の持続投与後、行動実験として高架十字、明暗箱を行い、各群の情動行動を解析した。また、消化管機能との関連も調べるため、食餌摂取量体重も調べた。 【結果】行動解析の結果、アンチセンス群が他の群に比べ、closed armへの進入が有意に少ないこと、アンチセンス群が他の群に比べ、white boxでの滞在時間が有意に長いことを示している。これは、アンチセンス群が他の群に比べ、不安行動が少ないと考えられる。また、アンチセンス群の食餌摂取量、体重も他の群に比べ、有意に少なかった。【考察】GPR39-1bの発現を抑制したラットの不安行動が減少し、また、食餌摂取量、体重が減少した結果より、GPR39-1bは、扁桃体において不安を惹起する作用を持つことが考えられる。また、消化管においては、食餌摂取を促進し、体重を増加させる働きを持つことが考えられる。
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Research Products
(3 results)