Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30301401)
館農 勝 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60464492)
吉永 敏弘 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70404704)
小野 貴文 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50438024)
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Research Abstract |
本研究の目的は,統合失調症の認知・行動の異常に対する新たな治療手段としての,薬物・細胞combined療法の可能性について,検討・開発を進めることである。 これまで我々は,精神疾患の薬物療法における認知・行動異常の改善について,治療薬が神経細胞,および神経幹細胞に作用して,“神経保護効果"と“神経新生促進効果"を発揮し,脳の神経回路網の維持・修復を促進させることの重要性を明らかとしてきた。 今回,薬物・細胞コンバインド療法の可能性について,胎生期poly I:C (ウイルス感染をmimicさせる薬剤)投与による統合失調症モデルラットを作製し, RIおよび蛍光色素標識した神経幹細胞を経静脈的に移植する方法で検討した。一部の病態モデル動物には,神経幹細胞移植と同時に,細胞の生存・分化促進効果を有することを明らかとした向精神薬としてオランザピンを投与し,各群における行動異常の改善効果に関して行動薬理学的評価を実施するとともに,移植した標識神経幹細胞の脳内動態を解析した。 その結果,神経幹細胞を経静脈的に移植した統合失調症モデルラットの脳内において,移植細胞の側脳室近傍(SVZ),海馬を含む諸領域への移行を認めるとともに,細胞移植によってモデル動物の行動異常改善が示された。加えて幹細胞移植にオランザピンを併用処置することで,移植細胞がより高率で脳に移行する可能性が示された。 今後,標識幹細胞を経静脈的に投与する本方法,および外来性神経細胞を用いたin vitro解析法を用いて,種々のサイトカイン,および幹細胞の末梢〜脳移行,脳神経回路修復に対する関与の仕方を明らかにしていく予定である。
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