2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591381
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
岩田 仲生 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60312112)
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Keywords | 統合失調症 / アドヒアランス / Medication Event Monitoring system / Shared Decision Making |
Research Abstract |
統合失調症の長期予後を改善させるには特に病初期の治療アドヒアランスが重要である。しかし統合失調症は疾患特性としてアドヒアランスが得にくいことがわかっている。申請者は統合失調症での、症状・病識・アドヒアランスの関係について102名の患者で予備的に検討した結果、病識とアドヒアランスのみに関連があり、症状と病識、症状とアドヒアランスは関連しないことを見いだした。初年度までの検討で統合失調症のアドヒアランス支援において医師患者関係が重要な要素であり、それらへの介入法を検討するためには、統合失調症患者における真のアドヒアランスを探索する必要がでてきた。その為昨年度はMedication Event Monitoring System(MEMS)を用いて、初発あるいは急性増悪して入院加療を要した統合失調症患者50名について退院後半年間のアドヒアランス状況をモニタリングした。結果として約70%の患者は退院後1週間でアドビアランスが悪化すること、服薬時間が不規則であるとアドヒアランス不良となること、またDAI-10のスコアはアドヒアランス不良群を、SAI-Jの不良群は脱落群を予測することが明らかとなった。半年間の結果としてcut off値を75%とすると68%が良好群であったが、半年間を通して良好であったのは概ね三分の一であり、多くの患者において退院後のアドヒランス維持は困難であることが明確となった。最終年度はこれらの実態を踏まえてアドヒアランス支援の介入方法としてShared Decision Makingの概念を取り入れた心理教育パッケージを独自に作成し100名の新規入院患者を対象として本パッケージを導入した群におけるその後の症状変化、再燃率について検討を進めた。結果として特に患者自己評価において高い治療満足度が得られることが明確となった。今後本研究を基盤とした実地医療においての開発を進めていく。
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