2008 Fiscal Year Annual Research Report
グリアにおける抗うつ薬の神経栄養因子誘導作用に関連する新規標的分子の同定
Project/Area Number |
20591384
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kure Medical Center |
Principal Investigator |
竹林 実 Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kure Medical Center, 呉医療センター臨床研究部, 室長・精神科科長 (60304440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久岡 一恵 呉医療センター, 臨床研究部, 研究員 (20393431)
仲田 義啓 広島大学, 薬学部, 教授 (40133152)
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Keywords | 抗うつ薬 / グリア / 神経栄養因子 / プロテオミクス |
Research Abstract |
【成果】グリアにおける抗うつ薬の新規ターゲット分子の同定について、神経栄養因子の発現を指標として(1)機能的アプローチ(2)直接的アプローチの2方向から探索を行っている。本年度は以下のような成果を得た。 (1)機能的アプローチ:抗うつ薬によるグリアにおけるグリア由来神経栄養因子(GDNF)の誘導作用のメカニズムとして、重要なチロシンキナーゼの一つである線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)を介していることを薬理学的に明らかにした。現在、siRNAや中和抗体を用いて抗うつ薬によるFGFRの活性化のメカニズムの詳細について検討中である。 (2)直接的アプローチ:グリアにおいて抗うつ薬が直接ターゲットする蛋白を明らかにするために、アフィニティクロマトグラフィ法を用いる計画を立案した。アフィニティクロマトグラフィ法を行う際に、ビオチンーアビジンの極めて特異的な結合反応を用いることをアイデアとして考案し、実際、ビオチン化抗うつ薬を生成し、質量分析および核磁気共鳴などを用いて化学構造を確認した(国際特許出願中)。来年度は、この新規に生成したビオチン化抗うつ薬をリガンドとして、アビジン固定化ビーズと結合させて、その抗うつ薬リガンドに親和性のある蛋白質を回収し、電気泳動、アミノ酸解析を行い同定する予定である。 【意義および重要性】 グリアにおける抗うつ薬の新規ターゲットに関して、FGFRを介した分子機構であることが判明し、さらにアフィニティクロマトグラフィ法で使用するリガンドとしてビオチン化抗うつ薬を生成したことは、双方向のアプローチからターゲットを同定する第一段階が初年度で整った点で意義が高いと考えられる。
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