2010 Fiscal Year Annual Research Report
グリアにおける抗うつ薬の神経栄養因子誘導作用に関連する新規標的分子の同定
Project/Area Number |
20591384
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Research Institution | 国立病院機構呉医療センター精神科 |
Principal Investigator |
竹林 実 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), 呉医療センター臨床研究部, 室長・精神科科長 (60304440)
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Keywords | 抗うつ薬 / グリア / アストロサイト / 神経栄養因子 / アフィニティクロマトグラフィ / 繊維芽細胞成長因子受容体 |
Research Abstract |
グリアの主要な種類であるアストロサイトは高次脳機能に役割をもち、うつ病の病態・治療に関与する新しいターゲットの候補と推測されている。抗うつ薬のグリアにおける神経栄養因子増加作用の作用点を探索すれば、従来の神経系をターゲットとしたいわゆるモノアミン仮説を超えた創薬が可能となる。確立したグリア細胞assay系を利用して、抗うつ薬のモノアミン非依存性新規作用部位への機能的アプローチおよびビオチン化抗うつ薬を用いた沈降法によるターゲット蛋白探索の直接的アプローチの2つのアプローチを用いて双方向から抗うつ薬の新規作用部位にアプローチした。抗うつ薬によって、選択的にExtracellular signal-regulated kinase (ERK)およびチロシンキナーゼ繊維芽細胞成長因子受容体(FGFR)が活性化することを明らかにし、さらに抗うつ薬→MMP活性化→FGF2 shedding→FGFR1,2活性化→ERK活性化→神経栄養因子発現までの経路を明らかにした。直接的なアプローチとしては、アフィニティクロマトグラフィに用いるリガンドとしてビオチン化抗うつ薬を作成し、グリア細胞溶解液と反応させて、抗うつ薬に親和性の高い蛋白質を免疫沈降法で回収し、同定するものである。現在まで、ビオチン化抗うつ薬の合成、精製に成功した(国内特許申請中)。このビオチン化抗うつ薬を用いてストレプトアビジンアガロースビーズとの沈降実験の基礎的検討を行った。しかしながら、このアガロースビーズでは、蛋白質の回収率が非常に低いため、現在は、他の磁気ナノビーズの使用へ変更し再検討し、その結果、良好な蛋白回収率が得られた。そのため、この磁気ナノビーズを用いて、抗うつ薬と結合する蛋白質を免疫沈降後に回収し、電気泳動で分離して染色しreconfirmingバンドを同定できた。現在は、実験の再現性を検証中である。
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Research Products
(10 results)