2010 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の認知病理に関する神経生理学的研究-前部帯状皮質の認知神経科学的アプローチ
Project/Area Number |
20591385
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久住 一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30250426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 克治 北海道大学, 病院, 助教 (70344512)
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Keywords | 大うつ病性障害 / 認知機能 / 復職支援プログラム / 遂行機能 / 処理速度 / 言語記憶 |
Research Abstract |
抑うつ症状が回復期にあり、復職を具体的に検討している段階にある単極性うつ病患者を対象にして、3ヶ月間の復職支援プログラムを施行し、その前後で認知機能を比較した。認知機能検査は、実行機能としてWisconsin Card Sorting Test(WCST)、言語流暢性としてWord Fluency Test(WFT)、視覚処理および運動速度としてTrail Making Test(TMT)、反応抑制および選択的注意としてStroop Test、注意保持および運動速度としてContinuous Performance Test(CPT)、近時・即時短期記憶としてAuditory Verbal Learning Test(AVLT)を施行した。復職支援プログラムは、週2~4日の作業療法、週1日の集団認知行動療法から成っている。プログラムを完遂した28例について検討すると、抑うつ症状ではおおむね改善しているにもかかわらず(ハミルトンうつ病評価尺度スコア:5.7±3.5)、プログラム開始前の認知機能は、遂行機能、処理速度、言語記憶などの領域で低下が目立っていた。しかし、プログラム終了後には認知機能の改善傾向が認められ、特に、WCSTの保続的誤答数、TMT-A時間、AVLTの遅延再生単語数については統計的に有意な改善であった(P<0.05)。こうした認知機能の改善が、プログラムそのものによる効果なのか、うつ病回復期における変化を見ているに過ぎないのかは、今後ケースコントロール研究が必要だが、復職可能性の指標として、症状評価より鋭敏に状態を反映する可能性があると考えられる。
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Research Products
(4 results)