2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼少時期に受けた両親からの養育的要因が、人格特徴・対人関係敏感性に与える影響
Project/Area Number |
20591390
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大谷 浩一 Yamagata University, 医学部, 教授 (00194192)
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Keywords | 養育的要因 / 人格特徴 / 対人関係敏感性 |
Research Abstract |
対人関係敏感性は、他者の行動や感情に対する過度な意識や過敏性と定義され、うつ病の病前人格と関連すると報告されている。一方、子供の愛情に対しての要求に無関心、あるいは、子供の自立を妨げる病的な親の養育は、その子供に不安定な愛着を作り出すと提案されており、種々の精神疾患、特にうつ病と自殺行動は、機能不全をきたした養育環境と関係があると報告されている。従って、両親からの非機能的な養育態度が、子供の人格特徴、特に対人関係敏感性に影響を与えることにより、後年、うつ病などの精神疾患を発症させると推測される。そこで本研究では、640例の健常日本人を対象に、幼少時期に受けた両親からの非機能的養育スタイルが対人関係敏感性に与える影響について検討した。 対人関係敏感性はInterpersonal Sensitivity Measure(IPSM)を用いて評価した。幼少時期に受けた両親からの養育態度をParental Bonding Instrument(PBI)を用いて評価し、PBIの愛情と過保護の2因子の得点から4種類の養育スタイル(適正養育、愛情のある干渉、怠慢養育、愛情のない干渉)に分類した。 父親から"愛情のない干渉"を受けた男性は、"適正養育"を受けた男性と比較して有意にIPSM得点が高値であった。母親から"愛情のある干渉"、"怠慢養育"、"愛情のない干渉"を受けた女性は、"適正養育"を受けた女性と比較して有意にIPSM得点が高値であった。反対の性の両親より受けた非機能的養育スタイルは、男性・女性共に、IPSM得点に影響を与えなかった。 以上より、対人関係敏感性は同じ性の両親より受けた非機能的養育スタイルにより上昇することが示された。
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Research Products
(1 results)