2011 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による脳血流同時測定を用いた精神疾患の経頭蓋磁気刺激治療法の開発研究
Project/Area Number |
20591402
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩瀬 真生 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60362711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 良平 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40372619)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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Keywords | 磁気刺激 / 近赤外分光法 / 遺伝子解析 / 精神生理学 / 非薬物療法 |
Research Abstract |
平成23年度は、作業記憶を評価する代表的な課題であるスタンバーグ課題施行中のNIRS賦活曲線の特徴解析を行った。統合失調症では作業記憶を担う前頭葉機能の低下が重要な病態の一つであるため、課題中の前頭葉血流変化と臨床特性との関連を検討した。健常者271名、統合失調症144名において解析した。課題は、固視点を注視するだけのpre-task periodを30秒、スタンバーグ課題を行うtask periodを120秒、固視点を注視するだけのpost-task periodを60秒とした。task period中には合計8回のスタンバーグ課題のtrialが繰り返された。1 trialは15秒からなり、まず5桁の数列(memoryset)が提示され、その数秒後に1桁の数字(probe)が3回提示された。提示されたprobeがmemory setの中にあったかどうかを口頭で回答させた。健常者のgrand average curveではtrialに同期した信号変化がoxyHb、deoxyHb、組織酸素化指標(TOI)のいずれにおいても見られ、8回のtrialの全てに対し信号のピークは、各trial開始より約11秒後に出現した。統合失調症患者のgrand average curveでは、trialに同期した信号変化が減弱していた。これより統合失調症では課題のタイミングに応じた神経活動の変化が行われておらず、作業記憶課題施行時の情報処理過程が非効率的になっていることが示唆された。1st trialに対するベースラインからの信号変化、2nd trial以降の7回の反応の平均、task period全体の平均信号変化の3者を、課題による賦活の指標として、健常者と統合失調症で比較したところ、前2者は統合失調症で有意に低下していたが、task period全体の平均信号変化はdeoxyHbを除いて有意差を認めなかった。このことは、task period全体の賦活に注目するよりは、賦活曲線の特性に注目した指標の方が統合失調症と健常者の弁別をより的確にできることが示唆された。この知見と磁気刺激治療成績との組み合わせにより、磁気刺激治療の効果予測、効果判定に応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(43 results)