2009 Fiscal Year Annual Research Report
レビー小体型認知症における誤認妄想の神経基盤の研究
Project/Area Number |
20591413
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
橋本 衛 Kumamoto University, 医学部附属病院, 助教 (20452881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 学 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60284395)
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Keywords | レビー小体型認知症(DLB) / 誤認妄想 / 神経基盤 / SPECT / MRI |
Research Abstract |
本研究ではレビー小体型認知症(DLB)患者が皇する精神神経症状、特に誤認妄想に注目し、症候学的、神経心理学的、神経画像的アプローチによりその神経基盤を明らかにすることを目的とする。妄想の神経基盤が明らかとなることにより、有効な治療や介護手法の開発に重要な資料を提供する可能性がある。 1. 症候学的アプローチとして、DLBの個々の症例の精神神経症状と画像所見との関連を分析し、DLBの診断における誤認妄想の重要性、誤認妄想の薬物治療・ケアの困難さ明らかにし、老年精神医学雑誌に報告した。 2. REM睡眠行動障害(RBD)はDLBに特徴的な症候であり、RBDと誤認妄想との関連が推測されている。DLB患者の睡眠障害の特徴を明らかにすることにより誤認妄想の発現機序の解明につながることが想定される。そこでDLB患者の睡眠時の行動とアルツハイマー病(AD)患者のそれとを比較し、DLB患者のほうがAD患者よりも有意に夜間の大声での寝言と、日中の過眠が多いことを見出した。この知見をThe 3rd Congress of Asian Society Against Dementiaで発表した。 3. DLBではSPECTにおける後頭葉の血流低下が特徴とされる。本研究の予備研究として、DLB患者の後頭葉血流低下と誤認妄想などの精神症状との関連について検討した。DLB患者40例を後頭葉血流低下群19例と非低下群21例の2群に分類し誤認妄想の有無を比較したところ、2群間で妄想の頻度に有意差はなく、誤認妄想と後頭葉血流低下との関連がないことが明らかとなった。本知見を第14回日本神経精神医学会において発表した。
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