2010 Fiscal Year Annual Research Report
レビー小体型認知症における誤認妄想の神経基盤の研究
Project/Area Number |
20591413
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
橋本 衛 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20452881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 学 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60284395)
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Keywords | レビー小体型認知症 / 誤認妄想 / 嫉妬妄想 / MRI / 脳血管障害 / Clock Drawing Test |
Research Abstract |
本研究ではレビー小体型認知症(DLB)患者が呈する精神神経症状、特に妄想に注目し、症候学的、神経心理学的、神経画像的アプローチによりその神経基盤を明らかにすることを目的とする。H22年度はこの目的に対して下記の成果をあげた。 1.DLB患者の妄想の種類とそれらの相互関係を主成分分析を用いて検討した。その結果、物盗られ妄想が誤認妄想と関連し、嫉妬妄想が幻の同居人妄想と関連することが明らかになり、この知見を第106回日本精神神経学会で発表した。DLBでは誤認妄想が物盗られ妄想や嫉妬妄想を誘発するという本知見は、DLBの妄想の発現機序を考える上で極めて重要な知見である。 2.各認知症における嫉妬妄想の頻度を検討し、嫉妬妄想が他の認知症と比較してDLBに有意に多いこと、嫉妬妄想を呈する患者はMRIで示された血管性病変の合併が多いことを明らかにし、この知見を第25回老年精神医学会で報告した。さらに血管性病変がアルツハイマー型認知症においても妄想のリスクであることを明らかにし、この知見を同学会のシンポジウムで発表した。これらの知見は、脳血管性障害を予防することにより認知症の妄想の合併を軽減する可能性を示唆しており、認知症の治療とケアにおいて極めて重要な知見である。 3.DLBにおいてClock Drawing Test (CDT)の成績がADよりも不良であることは知られていたが、我々はCDTにおいて奇妙な時計の絵を描く頻度がDLBでADよりも有意に多く、前頭葉機能の低下と関連することを示し、この知見を第34回日本神経心理学会で報告した。本知見は、DLBとADの鑑別診断に極めて有用である。
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Research Products
(6 results)