2008 Fiscal Year Annual Research Report
シスチン・グルタミン酸交互輸送体機能障害による海馬酸化ストレス増強機序の解明
Project/Area Number |
20591415
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
土井 拓 University of Miyazaki, 医学部, 助教 (70274793)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 勇人 宮崎大学, 医学部, 准教授 (70244192)
中島 暉 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10041857)
船橋 英樹 宮崎大学, 医学部, 助教 (10404435)
蛯原 功介 宮崎大学, 医学部, 助教 (20510720)
|
Keywords | てんかん / グルタミン酸 / 抗酸化能 / レドックス / 酸化ストレス / cystine / glutamate transporter(xCT) |
Research Abstract |
cystine/glutamate transporter(xCT)は細胞内外のグルタミン酸濃度勾配を利用して、グルタチオン(GSH)生成に必要なシスチンを細胞内に取り込むことによって細胞内外レドックス状態に関与し、さらにはそのレドックス状態がグルタミン酸トランスポーター(EAATs)の機能を修飾することから、多岐にわたって、てんかんの病態に対して重要な働きをしている。自発性けいれんのみられるELマウスで細胞外グルタミン酸濃度測定、グルタミン酸トランスポーター、xCTの発現解析を行った。初発けいれんを示すictogenesis期にあたる8週齢目に細胞外グルタミン酸濃度の上昇と、ECCA-1,xCTの顕著な低下がみられた。8-10週齢目のELマウスでは、海馬レドックスの著しい酸化シフトが生じており、その背景には今回明らかにできたxCTの発現低下が関与していると考えられた。酸化シフトとGSHの供給が減少することで、EAATsのグルタミン酸の再取り込み機能が低下し、細胞外グルタミン酸濃度が上昇し、その結果、xCTの発現ばかりでなく、その機能も損なわれることで、GSH合成能が低下し、さらに酸化シフトが進み、さらなるグルタミン酸の上昇を引き起こし、生化学的な興奮性が惹起されるものと考えられる。加えてictogenesisを示す8週齢目には、GABA合成を司るEAAC-1が低下しており、GABA合成能も減弱すると推測される。これらの結果がictogenesisを誘導し、けいれん履歴を繰り返す中でELマウスのepileptogenesisが次第に固定されると考えられる。本実験によりてんかん病態におけるグルタミン酸と細胞内外のレドックス状態の役割、関与、結びつきが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)