2009 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβ蛋白の軸索障害に及ぼすアンギオテンシンIIの増強作用
Project/Area Number |
20591418
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
比留間 弘美 Kitasato University, 医学部, 准教授 (10238397)
|
Keywords | 軸索輸送 / アンギオテンシンII / アミロイドベータ蛋白 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
アルツハイマー病発症の初期には神経の軸索輸送が障害されている。一方、血管を強力に収縮させるアンギオテンシンIIの受容体阻害薬あるいは変換酵素阻害薬がアルツハイマー病発症を遅延させることが最近判明した。本研究では、アンギオテンシンIIの軸索輸送への作用、および、アンギオテンシンIIがアルツハイマー病の原因物質アミロイドβ蛋白の作用を増強するか否かについて検討することを目的とする。 平成21年度では次に示す結果を得た。1) 培養ラット海馬ニューロンの神経線維における軸索輸送がアンギオテンシンIIによって濃度依存性に減少した。2) 蛍光蛋白遺伝子をバキュロウィルスで導入してミトコンドリアやライソゾームを発光させ、それらの軸索内輸送を観察した結果、アンギオテンシンIIはミトコンドリアやライソゾームの軸索輸送を抑制することが判明した。3) これらのアンギオテンシンIIの軸索輸送抑制作用は、低濃度の場合は洗浄により戻ったが、高濃度では不可逆であった。4) アミロイドβ蛋白とアンギオテンシンIIを同時に細胞に与えると、アミロイドβ蛋白単独の場合より、軸索輸送は著しく抑制され、強い軸索変性を引き起こした。以上の結果より、アンギオテンシンIIは軸索輸送抑制作用をもつこと、および、アミロイドβ蛋白の神経毒性がアンギオテンシンIIによって増強され軸索変性を引き起こすことが示唆された。よって、アンギオテンシンIIはアルツハイマー病の進行を増強する可能性がある。
|
Research Products
(10 results)