2010 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβ蛋白の軸索障害に及ぼすアンギオテンシンIIの増強作用
Project/Area Number |
20591418
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
比留間 弘美 北里大学, 医学部, 准教授 (10238397)
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Keywords | アンギオテンシンII / アミロイドベータ蛋白 / 軸索輸送 / アクチン / アンギオテンシン受容体 / 培養海馬ニューロン |
Research Abstract |
生体活性ペプチドであるアンギオテンシンII(AngII)は血管収縮作用をもち血圧を上昇させることはよく知られ、Ang IIのAT1受容体阻害薬は高血圧症の治療薬として最も多用されている。最近、AT1I受容体阻害薬はアルツハイマー病の予防と治療に有効であることが前向きコホート研究で明らかにされた。本申請者はアルツハイマー病の重要な病原物質であるアミロイドベータ蛋白(Aβ)がアクチン(細胞骨格の一種)を凝集させ不可逆性に軸索輸送を障害することを以前に報告した。本研究では、Ang IIの軸索輸送への作用とその作用機序、および、Ang IIのAβ作用増強について検討した。ビデオ増感顕微鏡を用いて培養ラット海馬ニューロンの神経線維における膜性オルガネラの軸索輸送を観察した。Ang IIは濃度依存性にオルガネラの軸索輸送を抑制した。AT1受容体アゴニストはAng IIと同様に軸索輸送を抑制したが、Ang II AT2受容体アゴニストは効果がなかった。Ang IIの軸索抑制作用は、AT1受容体アンタゴニストで阻止されたが、AT2受容体アンタゴニストでは阻止されなかった。したがって、Ang IIの軸索輸送抑制作用はAT1受容体の活性化を介して起こることが判明した。Ang IIは神経線維を収縮することも判明した。すなわちAng IIは細胞骨格に変化を生じさせる可能性がある。実際、Ang IIの軸索輸送抑制作用と神経線維収縮作用はアクチン脱重合薬で阻止された。さらに、Ang IIはAβの軸索輸送障害作用を増強させた。本研究により、Aβの神経毒性がAT1受容体を介するAng IIによって増強され、その作用は細胞内アクチンの重合を介して起こることが示唆された。よって、Ang IIはアルツハイマー病の進行に関与する可能性がある。
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Research Products
(7 results)