2009 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症初発エピソードの認知機能障害の経過と認知機能リハビリテーションの効果
Project/Area Number |
20591420
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池淵 恵美 Teikyo University, 医学部, 教授 (20246044)
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Keywords | 統合失調症 / 初発エピソード / 認知機能障害 / 追跡研究 / 社会機能 / 精神症状 |
Research Abstract |
本研究の目的は、統合失調症の長期的な予後を改善するために、初期治療が重要であるとの視点から、初発エピソードの患者を対象とし、社会的な機能への影響が大きい認知機能障害について、初発からの縦断的な経過を調査する。また発症から5年経過した患者を比較対照群とし、発症後の認知機能障害の変化について、悪化もしくは改善が見られるか検証する。 対象:初回エピソードで症状の持続期間をのぞけばDSM-IVにより統合失調症と診断でき、発症時から2年以内に受診したもの。 評価:精神症状(PANSS)、認知機能(BACS)、生活技能プロフィール(LSP)、GAFで評価。継続的な外来治療を実施しながら、その間6ヶ月に1回の間隔で評価を行い、3年間追跡する。 進行状況:平成22年2月までの登録者は16名(男性8名、女性8名)で、半年後の評価を施行した者が6名(男性4名、女性2名)、1年後の評価を施行した者が4名(男性3名、女性1名)。 結果:登録者の平均年齢26.4±7.0歳、教育年数13.3±2.3年、JART95.9±10.5である。まだ半年後の評価を実施できたものは少数例であるため、統計解析を行っていないが、半年後においては認知機能の改善傾向が明らかに見られる一方、精神症状が若干改善する程度であり、社会機能については大きな変化は見られない傾向がある。この乖離について、半年後評価症例が10例以上となった段階で、統計解析を行う予定である。 2)発症時点から5年経過した比較対照群は、現時点での登録者は10名(男性6名、女性4名)であり、平均年齢35.8±4.7歳、教育年数12.7±1.6年、JART97.6±10.4であった。初発エピソード群と比較すると、認知機能及び社会機能に明らかな差異が見られなかったが、精神症状においてはPANSS陽性尺度及び総合精神尺度に改善が認められた。5年経過群のうち初発エピソードのみのもの、再発エピソードのあるものそれぞれが10名以上となったところで初発エピソード群との比較の統計解析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)