2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症初発エピソードの認知機能障害の経過と認知機能リハビリテーションの効果
Project/Area Number |
20591420
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池淵 恵美 帝京大学, 医学部, 教授 (20246044)
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Keywords | 統合失調症 / 初発エピソード / 認知機能障害 / 追跡研究 / 社会機能 / 精神症状 |
Research Abstract |
本研究の目的は、統合失調症の長期的な予後を改善するために、初発エピソード患者について、社会的な機能への影響が大きい認知機能障害について初発からの経過を調査し、精神症状や社会機能への影響を検討することである。 【研究1】 対象:年齢が16-45歳で、DSM-IV A項の2つが少なくとも3日間存在し、半年後に統合失調症(DSM-IV)の診断が確定したもの 方法:追跡して6ヶ月ごとに評価(BACS-J, PANSS, LSP)を行い、再発の有無や社会的機能の経過を測定する。 結果: 1)1年後まで追跡した対象者は男性6名、女性6名、平均年齢26.58±7.17歳DUP(duration of untreated psychosis)は1.17±1.03ヵ月と短かった。 2)上記12名に対して一元配置分散分析を行った。言語記憶、運動機能、遂行機能が有意に改善していた。ワーキングメモリ、処理速度や流暢性では変化がみられなかった。対人的社会機能である交際や会話、GAFが有意に改善していた。 3)遂行機能と陽性症状に有意な正の相関がみられた。DUPと認知機能の変化との有意な相関はみられなかった。 【研究2】 対象:16-45歳でDSM-IVにて統合失調症と診断され、発症して5年経過したもの(5年群) 方法:研究1の初発群(半年経過時点)19名と5年群18名を比較した。 結果: 1)5年群は年齢が有意に高く、抗精神病薬服薬量が多かった(有意傾向)。 2)年齢と抗精神病薬服薬量を共変量とした共分散分析を実施した。 精神症状:総合精神病理評価が初発群が高く、改善傾向がみられた。 社会機能:交際の得点が5年群が高く、有意傾向がみられた。 認知機能:言語記憶、遂行機能の得点において5年群が有意に低く、意味流暢性、単語流暢性は5年群が有意に高かった。ワーキングメモリおよび運動速度、処理速度は有意差はなかった。 考察:認知機能障害はその機能領域により、a.発症以前から低下している神経脆弱性、b.発症前後から顕在化し進行する、c.精神症状と並行し変動する精神症状依存的と、異なる可能性がある。
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Research Products
(8 results)