2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能的MRIを用いた強迫性障害の脳機能研究:治療効果と脳機能変化の検討
Project/Area Number |
20591424
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
中川 彰子 Kawasaki Medical School, 医学部, 准教授 (70253424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 智博 九州大学, 大学病院, 助教 (50423554)
吉浦 敬 九州大学, 大学病院, 講師 (40322747)
|
Keywords | 強迫性障害 / fMRI / 行動療法 / SSRI / Stroop Test |
Research Abstract |
本研究は強迫性障害の病態生理をより明らかにすることを目的に、治療前後における認知機能、および脳機能の変化を治療法別に検討するものである。 対象は、18歳~60歳、SCIDにより強迫性障害と診断された外来患者で他の精神疾患、知的障害を合併しない、強迫症状が中等度以上のものである。対象患者を12週間のfluvoxmineを用いた薬物療法、行動療法、プラセボ治療に無作為に割り付け、治療前後に臨床評価(Y-BOCS,CGI-I等)、数種の神経心理検査、Stroop課題等の賦活課題を用いたfMRI撮影を試行し、各治療前後における臨床症状、認知機能、脳機能画像上の変化について昨年度より対象者を増やし、昨年度とは異なる画像解析法を用いて検討した。各治療前後の撮像は現在まで薬物療法群14人、行動療法群11人、プラセボ群7人で行え、YBOCSの総得点がそれぞれ27.9%,59.0%,11.0%改善した。Stroop課題下のfMRI画像では、薬物療法改善群、行動療法群の各治療前後をプラセボ群の治療前後とSPM2による2-way ANOVAを用いて解析したところ、両群とも右DLPFで有意差を認めたが、薬物療法で有意差を認めた脳部位がこの部位に限られたのに比し、行動療法群では右側頭,頭頂部を中心に複数の部位に有意差が認められた。この結果より、右DLPFの本疾患の病態生理への関与が示唆され、また、行動療法は薬物療法に比してより広範な脳部位を変化させうるとも考えられるが、対象者数が少数であり、さらに、薬物療法群では症状の改善率が低く、今後は症例数を増やして他の賦活課題も用いて検討する必要がある。
|
Research Products
(5 results)