2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症モデル動物における行動異常および分子病態の解析
Project/Area Number |
20591426
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
安田 新 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (20392368)
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 行動科学 |
Research Abstract |
結節性硬化症の原因遺伝子tuberous sclerosis complex(TSC)-2の変異は遺伝性の自閉症発症要因となる。TSC2は低分子量G蛋白質rhebに対するGAP(GTPase activating protein)活性を持つ。TSC2がRhebをGTP型(活性型)からGDP型(不活性型)に変換することにより、下流のセリン-スレオニンキナーゼmTOR(ラパマイシンのターゲット分子)の活性が低下する。我々は、tsc2変異モデル動物Ekerラットの海馬ニューロンにおけるスパイン形成が阻害されることを既に見出している。スパイン形成異常は正常ラットのニューロンにGTP型Rhebを強制発現した際にも見られた。更に、EkerラットのRheb-mTORの活性をrapamycinを投与することにより抑制したところ、下流のp70 S6のリン酸化は抑制されたが、シナプス形成異常には効果を示さなかった。そこで、Rhebに結合する新たなスパイン形成制御蛋白質をyeast two-hybrid systemを用いて探索し、Rheb binding protein(RBP)と名付けた。EkerニューロンのRBPをsiRNAによりノックダウンしたところ、スパイン数が増加した。逆に、RBPを正常ニューロンに発現したところスパイン形成が抑制された。これらの結果は、新しく同定したRBPがスパイン形成に重要な役割を持つことを示唆している。Ekerラットの海馬ニューロンにGDP型Rhebを発現したところ、RBPが減少すると同時にスパイン形成を促進した。以上の結果から、tsc2変異がrhebをGTP型に変換することにより、ニューロンに於いてRBPを増加させること、また、RBPの増加がtsc2変異による自閉症モデルに見られるスパイン形成異常の原因となることが考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Association analysis of RGS2 variants with panic disorder in a Japanese population2011
Author(s)
Otowa T, Shimada T, Kawamura Y, Sugaya N, Yoshida E, Inoue K, Yasuda S, Liu X, Minato T, Tochigi M, Umekage T, Kasai K, Tanii H, Okazaki Y, Kaiya H, Ts Sasaki T
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Journal Title
American Journal of Medical Genetics Part B : Neuropsychiatric Genetics
Volume: in press
Peer Reviewed
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