2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知症早期診断のためのアミロイド・タウイメージングプローブの創出
Project/Area Number |
20591432
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 信行 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40361076)
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Keywords | PET / 老化 / アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 |
Research Abstract |
老人斑・神経原線維変化の両者をそれぞれ独立して検出することができれば、アルツハイマー病(AD)の診断精度がさらに向上し、病態をより正確に把握することが可能となる。そこで本年度は我々がタウ蛋白に結合選択性をもつことを見出したキノリン誘導体の結合性を評価した。THK-523、THK-951の結合性を蛍光顕微鏡下で評価したところ、両化合物はAD脳切片において神経原線維変化と結合した。次に前頭葉および海馬の連続切片を用いて、老人斑、神経原線維変化との結合性をオートラジオグラフィーにて比較した。前頭葉脳切片ではアミロイドイメージング用PETプローブである[^<11>C]BF-227の顕著な集積が観察されたものの、[^<18>F]THK-523、[^<11>C]THK-951の集積は目立たなかった。一方、海馬脳切片では[^<18>F]THK-1242、[^<11>C]THK-951の顕著な集積が観察され、[11C]BF-227とは異なる集積分布を示した。海馬脳切片における[^<11>C]BF-227の集積部位は、Aβ免疫染色で老人斑の沈着が多数観察される部位に一致し、一方、[^<18>F]THK-523、[^<11>C]THK-951の集積を認めた部位では、タウ免疫染色陽性の神経原線維変化の沈着と一致していた。以上で述べた結果から、[^<18>F]THK-523、[^<11>C]THK-951は[^<11>C]BF-227とは異なる結合特性を有し、老人斑に比べて神経原線維変化に対する結合選択性が高いことが示唆された。 また[^<18>F]FACTを用いたPET検査のアルツハイマー病(AD)診断における有用性について検討を行った。AD患者では健常高齢者に比べて前頭葉、外側側頭葉、頭頂葉、後部帯状回における集積上昇が確認され、AD患者の外側側頭葉における[^<18>F]FACT SUVRは健常人に比べ平均17-18%上昇していた。同一被検者で[^<18>F]FACT-PETと[^<11>C]BF-227-PETの画像所見を比較した結果、両者の脳各領域における集積はよく相関した。以上の結果から[^<18>F]FACTを用いたPET検査は、[^<11>C]BF-227-PETと同様にAD早期診断に有用であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)