2008 Fiscal Year Annual Research Report
3テスラMRSを用いた脳内GABAの測定により夜勤従事者の疲労を客観的に評価する
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20591466
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
興梠 征典 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (60195691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大成 宣弘 産業医科大学, 医学部, 助教 (20233207)
掛田 伸吾 産業医科大学, 医学部, 講師 (30352313)
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Keywords | MRI / スパクトロスコピー / 慢性疲労 / GABA / 夜勤業務 |
Research Abstract |
研究の目的は、夜間勤務に伴う慢性疲労状態の病態解明や対策を進めるために、疲労や睡眠障害の客観的評価法を確立することである。すわなち夜勤従事者では、主要な興奮性、抑制性の神経伝達物質である脳内グルタミン酸とγ-アミノ酪酸(GABA)に変化が生じている可能性があり、超高磁場の3T MRスペクトロスコピー(MRS)を用いMEGA-PRESS法という手法により計測した。この計測には精度の高い装置の調整が必要であり、習熟した1名の研究分担者が行った。また脳内グルタミン酸とGABAのピークはきわめて微小であるため、その解析にはLC modelという専用のソフトウェアを用い、かつ解析に習熟した別の研究分担者が行った。 脳内GABAには日内変動があると考えられているため、今年度はまず日勤従事者を正常コントロールとして日内変動を評価した。対象は16名で、平均年齢は35.1歳である。一部の対象者には画像モニター端末による読影業務を負荷した。脳内グルタミン酸とGABAは、前頭葉と後頭・頭頂葉の2カ所を、朝、夕の決められた時間帯で2回測定し、GABA/Crを算出した。その結果、頭頂・後頭葉のGABA/Crは前頭葉と比較して有意に低い値を示し(p<0.01)、かつ測定値のばらつきが少なかった。頭頂・後頭葉のGABA/Crは夕方よりも朝が低い傾向を示した(1.66 vs 2.57,p=0.05)。なお前頭葉では朝と夕で明らかな差がなかった(5.37 vs 4.49)。これまで、脳内GABAと睡眠、脳内GABA receptorと睡眠リズムの研究報告はあるが、睡眠と脳内GABA量についての検討はない。今回の結果は、脳内GABAにおける日内変動の存在を示唆するものと考えられた。
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