2009 Fiscal Year Annual Research Report
光造形血管モデルを用いた大動脈ステントグラフト治療前シミュレーションに関する研究
Project/Area Number |
20591473
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
眞田 順一郎 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (10313652)
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Keywords | 光造形 / ステントグラフト / 大動脈瘤 / 血管モデル / シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は、前年度に確立した血管モデルを用いたステントグラフト術前シミュレーションシステムの臨床応用を進め、以下の結果を得た。来年度もさらに臨床応用を進めつつ、最終的には本手法の臨床に与えるインパクトを検証する予定である。 【目的】胸部大動脈瘤に対する企業製ステントグラフトが保険償還された現状においても種々の理由から自作ステントグラフトを適応せざるを得ない状況が存在する。われわれが使用してきたMKステントグラフト(以下、MKSG)は柔軟な構造により血管追従性が良好であり、その高い臨床実績を報告してきた。しかし血管径に応じてステント自体が短縮伸張する構造的特性は宿主血管内で正確なポジショニングが必要な状況下では不利となる。そこで造影CTデータを使用した血管モデルを作成して術前シミュレーションを行い、最適なステントグラフトの形態を模索し正確な留置を目指すことを目論んだ。【方法と成績】術前に撮像された造影CTのDICOMデータを元に、テルモ株式会社メディカルプラネックス内で画像処理を行い光造形装置にて血管モデルを作成した。遠位弓部大動脈瘤に対するscallopedタイプのMKSGの応用、長区域の下行大動脈瘤や胸腹部大動脈瘤に対する単一のテーパー型MKSGもしくは複数の径の異なるMKSGの応用など、5例を対象として、血管モデルを作成し術前シミュレーションの結果を元にMKSGのデザインを決定し実際の留置手技を行った。全例で概ね予定位置に留置され、弓部分枝など温存すべき血管には影響がみられなかった。 【まとめ】ステントグラフト治療における術前シミュレーションをCTデータを用いた正確な血管モデルを利用して行うことにより、ステントグラフトのデザインの決定と正確な留置手技が可能となった。今後は臨床データを蓄積しシステムの完成度を高め、さらに治療研究のみならず、医学教育研修や医療機器開発にも応用可能なシステム構築を目指すものである。
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