Research Abstract |
一昨年度,上気道・舌・下顎骨の体積,舌/下顎骨比率(T/M比)とBMI・AHIの関係について検討を行った.舌体積とBMIの間に正の相関,T/M比と上気道容積の間には負の相関が認められた.すなわち,BMIの増加に伴い舌体積が増加し,T/M比の増加により上気道容積が減少した.このことから,BMIの増加に伴い変化するT/M比がOSAの発現に関係していると考えられた.しかし,T/M比とAHIとの間には関連は認められず,OSAの重篤度には,あまり影響しないと考えられた. その結果をうけ,昨年度はT/M比以外の因子についても検討するため,OSA患者のセファロを収集し,予備的検討を行った。その結果,OSA患者において,靱帯の石灰化や頭位に特徴があることが示唆された。項靱帯の靱帯石灰化について検討したところ,一般的な発現率(6.5-27.6%)と比較し,OSA患者で高い発現率を示すことが明なになった(46.3%)。また,項靱帯の石灰化とOSA重篤度の間には関連性が認められた。頭位に関しては,健常者と比較し,頸部の角度が前傾傾向にあることがわかった。これは,何らかの代償的な反応であると考えられ,今後,気道の形態等との関連性について,さらなる検討を加える予定である。また,頭位は舌も骨の位置と関連性が認められたため,T/M比がOSA重篤度と関連性が認められなかった理由を探る一助となると考えられ,今後の検討課題の1つと考えている。 本年度は,昨年度の予備検討をうけ,過去の文献で使用されているセファロ分析のパラメータを参考にさらなる検討を加える予定であり,併せて,これまでの研究成果について,適切な学会誌への発表を予定している。
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