2008 Fiscal Year Annual Research Report
中性子捕捉療法の治療計画に精密モンテカルロ評価を実現する境界面関数モデル法の研究
Project/Area Number |
20591487
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
熊田 博明 Japan Atomic Energy Agency, 原子力科学研究所研究炉加速器管理部, 研究副主幹 (30354913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲哉 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (30375505)
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Keywords | BNCT / 治療計画 / モンテカルロ輸送計算 / アルゴリズム / 線量評価 / 粒子線治療 |
Research Abstract |
BNCTの治療計画/線量評価には現在モンテカルロ法が適用されているが、既存のモンテカルロ計算コードの特性として計算モデルを形成する境界面の数が多くのなるほど計算時間が多くかかるという特性がある。現状の人体の計算モデルの形成方法は計算領域全体を2×2×2mm^3(8mm^3)などのメッシュ(ボクセル)に分割してモデルを形成するが、脳や肺などの同一組成の領域内部も多くの境界面で分断されてしまい計算効率が非常に悪い。よって本研究は、異なる組成の境界面だけを分別して定義し、同一組成領域は繋ぎ合わせて境界面数を減少させて、計算効率を向上することを目的としている。 平成20年度は同一組成のボクセルを繋ぎ合わせて境界面を減少することで計算効率を向上できることの検証を行った。サンプルとなる人体頭部のCTデータを基に、従来のボクセル分割法(1cm^3ボクセル及び8mm^3ボクセル)で計算モデルを作成した(評価基準モデル)。これに対し、脳領域内の同一組成ボクセルを繋ぎ合わせる処理モジュールを作成し、ボクセル数の少ない計算モデルを作成して計算を実行し、基準モデルとの比較を行った。比較結果から1mm^3ボクセルの基準モデルに対しては計算時間を約33%短縮し、8mm^3ボクセルの基準モデルに対しては計算時間を約27%にまで短縮でき、境界面数の減少によって計算効率を約3.7倍向上できることを確認した。計算精度は基準モデルの線量結果に対して統計誤差の範囲内で一致した結果を得られることを確認した。 本検証結果からボクセル数を減少させることで計算効率を向上できることを確認した。この新しい計算手法を実行するためには既存の計算コード(PHITS)に新しい関数処理の追加、及び、定義できるセル、サーフェイスの定義数を増加する必要があるため、計算コードへの改良項目をまとめた。
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