2010 Fiscal Year Annual Research Report
Zn-63の物理的・生物学的特性を利用する腫瘍PET診断薬剤の開発研究
Project/Area Number |
20591488
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
古川 高子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (00221557)
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Keywords | 亜鉛 / 腫瘍 / イメージング / Zn-63 / Zn-EDDA |
Research Abstract |
前年度までの結果に基づき、Zn-63を用いる腫瘍イメージングについて腫瘍への集積をさらに改善するため、キレート剤の種類、投与量などについてより好ましい条件を求めて検討を進めた.基礎検討にはZn65を用い、キレート剤をEDDA,EDTA,Glycineの3種とし、さらにZnとしての投与量をマウスの体重あたり、1mg/kg、0.25mg/kg,0.1mg/kgと変化させて、種々のヒト腫瘍細胞を皮下に移植して作製した担がんマウスに尾静脈より投与してbiodistributionを比較した。全ての投与量において、Zn-EDTAは腫瘍への集積がZn-EDDAおよびZn-Glycineに比べて低く、Zn-EDTAの高い安定性がin vivoにおいても腫瘍集積に不利に働いていると考えられた。Zn-EDDAとZn-Glycineでは腫瘍への集積量には大きな差が認められなかったが、血液中の放射能の残存量がZn-Glycineのほうがやや高い傾向がみられ、腫瘍と他臓器との比からみると、Zn-EDDAが腫瘍イメージングに適していると考えられた。また、投与量については0.25mg/kg,0.1mg/kgで1mg/kgより高い腫瘍/組織比が得られた。膵臓のイメージングでは1mg/kgが最適とされていたのと異なる興味深い結果であった。 上記の結果に基づき、所内において製造したZn-63を用いてbiodistributionで各種腫瘍のうち中程度の集積を示したU87MGを移植した担がんマウスにZn-63-EDDA(0.25mg/kg)を投与して小動物PETにより投与後1.5時間までの画像を取得した。投与後1時間前後で腫瘍が明瞭に描出された。以上より、Zn-63により標識されたZn-EDDAは腫瘍の描出に十分な能力を持つPETイメージング剤と考えられた。
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