2010 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換え修復機構の解析による個別化放射線治療の開発
Project/Area Number |
20591492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細谷 紀子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396748)
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Keywords | 放射線 / 癌 / 相同組換え / 薬剤反応性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、相同組換え機構の解析を通じて、放射線治療を含む個別化がん治療を開発するための分子遺伝学的基盤を構築することである。正常の体細胞では一切発現しないが、体細胞であるヒトのがん細胞において異所性に発現している減数分裂特異的なシナプトネマ複合体形成分子SYCP3に着目し、平成21年度までに、同分子の体細胞での発現が内在性の相同組換え修復能の低下をもたらし、染色体不安定性を誘導して、放射線やシスプラチンに対する感受性を亢進させることを示した。平成22年度は、SYCP3がどのような機序で相同組換え修復を抑制するかについて重点的に検討を進めた。SYCP3の標的となる分子を探索するために、SYCP3とDNA損傷応答・相同組換え修復に関与する様々な分子との共局在の有無を二重免疫染色法で検討したところ、SYCP3が相同組換えに重要な役割を果たすことが知られる乳がんの原因分子BRCA2と共局在をすることが分かった。また、免疫沈降・ウエスタンブロット法での検討により、SYCP3とBRCA2が複合体を形成することも確認できた。さらに、SYCP3を発現しない体細胞における強制発現の系やSYCP3発現腫瘍細胞における発現抑制の系を用いて、SYCP3の発現によりBRCA2のRAD51への結合が抑制されることも明らかにした。SYCP3がBRCA2の機能を抑制する点に着目し、SYCP3発現細胞株における放射線治療を含む新しいがん治療戦略の構築に向けて、さらに基礎的検討を進めている。
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Research Products
(8 results)