2010 Fiscal Year Annual Research Report
膠芽腫の治療成績向上を目指した,放射線と分子標的薬の最適な併用法を探る基礎的検討
Project/Area Number |
20591505
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
前林 勝也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60332350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 香織 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40339023)
橋本 弥一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20385420)
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Keywords | 膠芽腫 / 放射線治療 / 分子標的薬剤 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
膠芽腫の治療は大きなブレークスルーなく数十年経ているが、いま可能性があるのは分子標的薬剤と放射線治療の併用療法と考え、まずは、増殖に関与する因子を中心に、併用効果とそのメカニズムについて基礎実験を行った。その結果、EGFR阻害薬併用で増感効果を認めたため、この放射線増感のメカニズムを解明する目的で、放射線照射やEGFR阻害薬によるEGFRの発現を確認したところ、放射線照射後に発現は増強し、EGFR阻害薬併用で発現が抑制された。さらに、EGFRのシグナル伝達の下流に位置するRaF-1やErkの発現変化の検討で、放射線照射によりEGFRが活性化されることが示された。活性化の機序としては、EGFRとHER2のhetero/homo-dimmer形成と自己リン酸化が関与している可能性を見出すことが出来た。他のc-KitやPDGFRなどの因子に関しても同様な実験を行っている。一方、膠芽腫が治療抵抗性を呈する原因をGrade3神経膠腫と比較することで臨床的に解明するために行っている、当施設のGrade3神経膠腫と膠芽腫(Grade4)についてさらなる予後調査の結果、膠芽腫では2年全生存率34.2%、再発は33例中29例で照射野内は83%(24例)、Grade3では全生存率は3年で70.4%、5年で67.2%、再発は27例中10例で照射野内は80%(8例)であった。予後はGradeIIIで有意に良好であったが、照射野内再発率は同程度であり、この結果が何に起因しているのか、prospectiveな臨床研究としてGrade3/4の神経膠腫に関して1p/19q LOH, MGMT, IDH-1, p53, EGFRなどの腫瘍の遺伝的性質の解析を開始した。今後は、これらの基礎研究の結果と遺伝的背景の結果と予後との関係を検討していきつつ、大きな予後改善となる治療法の開発していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)