2008 Fiscal Year Annual Research Report
低線量γ線照射による制御性T細胞の誘導と自己免疫疾患の改善
Project/Area Number |
20591506
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小島 周二 Tokyo University of Science, 薬学部, 教授 (90119579)
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Keywords | 低線量放射線 / 全身性エリトマトーデス / 治療 / 改善 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
SLEモデルマウスであるMRL-lpr/lprマウスに対し低線量のγ線照射が病態を改善すること既に報告している。本年度は異常T細胞の機能を詳細に検討すると共に他のT細胞の増殖活性化を強力に抑制し、SLEをはじめとする種々の自己免疫疾患抑制において近年注目されている制御性T(T_<reg>)細胞に着目し検討、さらにIVアレルギーである関節リウマチモデルでも改善効果を検討した。 異常T細胞のγ線に対する致死感受性検討すると、予想に反し、その感受性は正常T細胞より低いことが、また細胞増殖能は正常T細胞と比較して顕著に高い細胞増殖能を有していたが、γ線照射群から調製した異常T細胞ではほぼ正常T細胞の増殖能を示した。制御性T細胞は胸腺で産生され、他のT細胞の増殖を抑制することで、SLEやI型糖尿病等の自己免疫モデルマウスへの本T細胞の移入による病態の改善効果が既に報告されていることから、本研究でも、γ線照射による異常T細胞の正常化をこの衛御性T細胞と関係付け検討したところ、MRL-lpr/lprマウスにγ線照射することにより、この制御性T細胞が誘導されることが明らかとなった。さらに、IV型アレルギーである関節リウマチモデルマウスで放射線照射と本病態の改善を検討したところ、同様な結果を得ることができた。 以上の結果より、MRL-lpr/lprマウスに対する低線量γ線の病態改善効果は異常T細胞の低下によること、そしてこの現象が制御性T細胞の誘導によりもたらされることが示唆された。さらに、他の自己免疫疾患(関節リュウマチ)モデルマウスでもγ線照射による制御性T細胞の誘導と疾患の改善を確認し、低線量の放射線を種々のヒト自己免疫疾患の治療/改善に用いる可能性が示唆された。
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