2008 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発アポトーシスとアテローム性動脈硬化症の発症・進展との関連に関する研究
Project/Area Number |
20591507
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
中島 徹夫 National Institute of Radiological Sciences, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (80237271)
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Keywords | シグナル伝達 / 放射線 / ストレス |
Research Abstract |
放射線による影響として放射線治療に伴いアテローム性動脈硬化症の進展が生じることが示唆され、一方でアテローム性動脈硬化症とアポトーシスは密接に関連していることが明らかにされつつある。放射線治療に伴う被ばくによるDNA損傷、アポトーシス誘起は副次的障害を考えるうえで重要な指標である。私は放射線誘導性アポトーシスがアテローム性動脈硬化症の発症との関連を調べるため血管平滑筋細胞の初代培養系を用いて解析を行なうことを進めた。血管平滑筋細胞はマウスの動脈から採取し、培養皿上ほぼ100%を占めた段階でさらに低血清培地で培養を行ない細胞の増殖を止めた段階で実験に用いた。放射線誘導性アポトーシスが誘起される系を探索するためアテローム性動脈硬化症との関連や血管平滑筋細胞をアポトーシスさせるストレスとして報告のあったものを組み合わせて実験をおこなった。酸化ストレスは動脈硬化症との関連が報告されている過酸化水素と放射線(10Gy)の組み合わせを用いてアポトーシス誘導をみたところH2O2と放射線(10Gy)の組み合わせでは相加的に上昇がみられた。アテローム性動脈硬化の進展部位は低酸素状態になっており低酸素ストレスはアポトーシスの刺激因子になるため低酸素状態(1%)と放射線を組み合わせでも検討したが相加的に上昇するのみであった。アテローム性動脈硬化症の危険因子として知られるLDL(低密度リポタンパク質)の酸化型の酸化型LDLはアポトーシスの刺激因子となるため放射線との組み合わせで検討したところ組み合わせた場合に相加的以上の上昇が見られた。酸化型LDLと放射線との組み合わせがどのように血管平滑筋細胞のアポトーシスを誘導させるのかが今後の課題であり、特にプロテインキナーゼCなどのキナーゼ系の情報伝達系を検討していく予定である。
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