2008 Fiscal Year Annual Research Report
非小細胞肺癌の重粒子線感受性予測および治療効果判定マーカーの探索
Project/Area Number |
20591508
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
馬場 雅行 National Institute of Radiological Sciences, 重粒子医科学センター, 治療課長 (00143305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 美緒 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 医員 (30422231)
野村 文夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80164739)
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Keywords | 炭素イオン線治療 / プロテオーム解析 / ペプチドーム / 非,小細胞肺癌 |
Research Abstract |
1.当院で2006年9月から2008年2月に炭素イオン線治療を行った非小細胞肺癌36例の治療前、治療後1-3日、治療後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の血清を解析した。 2.血清サンプル各5μLを磁性ビーズ(WCX、IMAC-Cu、ブルカー・ダルトニクス社)により処理し、ペプチドを選別した後、α-cyano-4-hydroxy-cinnamic-acid(CHCA)マトリックスと混合、結晶化させた。作製した結晶についてマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF/TOF MS)のAutoflex II(ブルカー・ダルトニクス社)で測定した。得られたMSスペクトルをClinProTools2.1ソフトウェアで解析、治療前後で比較した。マーカー候補と判定したペプチドのうち、3000Da以下のものはタンデムMS解析で同定した。 3.治療前のピーク強度を基準として、治療後それぞれの時点でのピーク強度に対し、Wilcoxon符号順位和検定による2群間比較を行った結果、治療前後で有意差を示し、且つ治療後の経過に従って一定の傾向を示したピークは10個あり、そのうち同定が可能であったのはWCXビーズの2861Daのピークであった。また、5890,7738Daはこれまでに同定したペプチドを同一のものと推測された。2861Daは照射直後にのみ有意に増加しており、照射後の組織の反応を反映していると考えられた。また5890Daは照射後増加傾向、7738Daは照射後減少傾向を示し、肺癌に対する炭素イオン線の治療効果を反映している可能性が考えられた。 4.以上より、血清中のペプチドが炭素イオン線照射に対する生体反応や治療効果を反映する可能性が示された。また、これらのペプチドの変化と血清中の凝固活性の関連が示唆されたため、今後さらなる検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)