2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝類洞機能を重視した新しい視点に基づく人工肝臓補助システムの開発
Project/Area Number |
20591516
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
藤井 秀樹 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30181316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 寛 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (40322127)
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Keywords | 人工肝臓システム / Kupffer細胞 / 急性肝不全 / 感染免疫 / op/op mouse / IL-17A KO mouse / 制御性T細胞 / CLPモデル |
Research Abstract |
平成22年度は、本研究の推進の根幹ともいえる、肝類洞壁細胞のなかでも種々のサイトカインの産生源であるKupffer細胞と肝実質細胞との関係を中心に研究を展開した。すなわち、Kupffer細胞が産生するサイトカインのなかに、肝実質細胞に障害的に作用するサイトカインがあることは、前年度、ラットCLPモデルを使用しての研究で明らかにした。したがって、新しい人工肝臓補助システムにはこれらの肝実質障害性サイトカインを除去する必要があるとの結論に至った。一方でいかなるサイトカインが肝実質保護的に作用するかが問われ、今年度はその解明を研究の主目的とした。そこでマクロファージ絶対数が極端に少ないop/op mouseを使用した研究を展開した。その結果op/op mouseにおいては、遺伝子改変が加えられていないマウスに比較して、肝部分切除後の肝再生が著しく障害されていること、またそれに関与するサイトカインがIL16であることが明らかとなった。この成果はすでにJ Surg Res(2011:165(1):59-67.)に公表した。 また、前年度のCLPモデルによる病態をKupffer細胞を中心により詳細に解析するため、また肝実質保護に関するサイトカインとしてIL-17に着目し、IL-17A Knockout mouse (KO mouse)を作成し研究を展開した。その結果、KO mouseにおいては、野生種よりもCLPによる感染からの死亡率が高く、また脾臓内の制御性T細胞の数が著増しており、IL-17が肝臓のみならず全身の免疫低下に関与していることを明らかにすることができた。この成果はJ Surg Res. (2010 Dec 18. [Epub ahead of print])に報告した。今後はこれらサイトカインを制御することによる肝実質細胞の機能維持と再生を意識した研究を展開したい。
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Research Products
(3 results)