2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型からみた生体肝移植におけるテーラーメード治療
Project/Area Number |
20591521
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
臼井 正信 Mie University, 大学院・医学系研究科, 講師 (10378341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 和史 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (60378370)
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Keywords | 生体肝移植 / カルシニューリンインヒビター / 遺伝子多型 / CYP3A5 / テーラーメード治療 |
Research Abstract |
肝移植術後には、術後早期の急性拒絶に伴うグラフト肝不全や免疫過剰による感染症の問題が依然として存在し、肝移植全体の成績向上の抑制となっている。移植医療には免疫抑制剤は必要不可欠であり、個人にあった免疫抑制剤の選択や投与量が重要である。これまでの解析でCYP3A5*1遺伝子をもつレシピエントおよびドナーは、カルシニューリンインヒビター(CNI)であるタクロリムスの投与量に対する血中濃度が低く、術後2週以内の最も大事な時期の急性拒絶を招くばかりでなく、投与量の増加に伴う副作用の出現まで来すことがわかっており、個々の遺伝子に合わせたCNIを選択するテーラーメード治療の確立は必要かつ急務である。またACE遺伝子にも多型が存在し、移植後のCNIによる腎障害について関与していることを報告してきた。このような複数の遺伝子多型を組み合わせて決定するテーラーメード治療を行うという前向き研究はこれまでになく、急性拒絶や腎障害など副作用・合併症の面だけでの改善だけでなく医療費の削減という目標においても独創的な研究である。これまでの研究に加え、CYP3A5とACEの遺伝子多型を組み合わせたテーラーメード治療を2005年10月より導入し、これまで7例に行い、テーラーメード治療導入後のタクロリムス使用は7例中5例で、術後1ヵ月にかかるCNI費用のコストダウンが出来た。また、術後腎機能障害は認めなかった。結果としてCYP3A5とACE遺伝子多型は、CIの体内動態と術後腎機能障害に影響を及ぼし、遺伝子情報に基づいたテーラーメード治療の導入は、副作用の軽減とコストダウンの両面で非常に有効であることを平成20年の日本外科学会で報告した。また、CNIであるタクロリムスの血中濃度に及ぼす遺伝子多型の影響は、レシピエントのみならずドナーの遺伝子多型まで術後3年以上影響を及ぼすことを平成21年の日本外科学会において報告した。
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Research Products
(1 results)