2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型からみた生体肝移植におけるテーラーメード治療
Project/Area Number |
20591521
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
臼井 正信 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10378341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 和史 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (60378370)
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Keywords | 生体肝移植 / カルシニューリンインヒビター / 遺伝子多型 / CYP3A5 / テーラーメード治療 |
Research Abstract |
脳死肝移植法案が採択され今後も脳死肝移植を含めて肝移植は増加する事が予想される。肝移植術後には、術後早期の急性拒絶に伴うグラフト肝不全や免疫過剰に伴う感染症の問題が依然として存在し、肝移植全体の成績向上の抑制となっている。移植医療に免疫抑制剤は必要不可欠であり、個人にあった免疫抑制剤の選択や投与量が重要である。これまでの解析でCYP3A5^*1遺伝子をもつレシピエントおよびドナーは、カルシニューリンインヒビター(CNI)であるタクロリムスの投与量に対する血中濃度が低く、術後2週以内の最も大事な時期の急性拒絶を招くばかりでなく、投与量の増加に伴う副作用の出現まで来すことが判明し、個々の遺伝子に合わせたCNIを選択するテーラーメード治療の確立を目指しこれまで発表してきた。CYP3A5の遺伝子多型を組み合わせたテーラーメード治療を2005年10月より導入し、テーラーメード治療導入後の術後1ヵ月にかかるCNI費用のコストダウンが出来、加えてCNIによる術後腎機能障害は認めなかった。また、CNIであるタクロリムスの血中濃度に及ぼす遺伝子多型の影響は、レシピエントのみならずドナーの遺伝子多型においても術後3年以上長期にわたって影響を及ぼすことを平成21年の日本外科学会およびアメリカ移植学会において報告した。22年度は、ATP活性と遺伝子多型の関係を検討し、日本肝胆膵外科学会で理事長賞を頂き、Journal of Hepatobiliary Pancreatic Surgeryに発表した。また、22年より、このCYP3A5遺伝子多型の影響を生体肝移植における遺伝子多型の影響を軽減する目的で肝移植術後周術期をtacrolimusの持続静注を導入し、結果を研究会で発表した。
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Research Products
(6 results)