2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胃・大腸癌幹細胞の分離同定と治療標的分子の特定
Project/Area Number |
20591531
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鄭 允文 Yokohama City University, 医学部, 助教 (80404995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70292555)
上野 康晴 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60375235)
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Keywords | 消化器癌 / 幹細胞 / フローサイトメトリー / 移植 / 腫瘍形成能 |
Research Abstract |
近年、癌組織においても正常組織と同様、自己複製能と多分化能を保持した幹細胞が存在し、幹細胞を頂点とした階層的な細胞社会が存在することが明らかになりつっある。癌幹細胞は腫瘍形成に寄与するだけでなく、転移や再発の原因となっていると考えられている事から同細胞群の特性解析は非常に重要なものであると言える。大腸癌においては既にCD133等の細胞表面抗原の発現を指標に癌幹細胞の分離・同定がなされているが、その分離純度は低く癌幹細胞の詳細な特性解析を行うには不十分である。従って、本研究ではより高純度な癌幹細胞の分離を目指すと同時に、癌幹細胞の存在が示唆された細胞群の特性解析を実施した。まず正常組織幹細胞と癌幹細胞の類似性に着目し、正常大腸上皮における幹細胞マーカーを探索した。その結果、腸管幹細胞が存在する大腸陰窩底部においてCD44の限局的な発現が見られたため、このCD44と既存の癌幹細胞マーカーであるCD 133を組み合わせる事で癌幹細胞の分離と特性解析を試みた。フローサイトメトリーにより分画化した各細胞画分の腫瘍形成能を評価した所、CD 133^+CD44^+細胞においては僅か100細胞の移植で腫瘍が形成され、高い腫瘍形成能が示された。次いで、分画化した細胞に対して正常な腸管幹細胞マーカーであるLGR5の発現解析を行った所、高い腫瘍形成能を持つCD133^+CD44^+細胞でLGR5^+細胞が多数確認された一方、腫瘍形成率が低かったCD 133^-CD44^-細胞ではLGR5^+細胞の頻度は少なかった。これらの事からCD 133^+CD44^+細胞は腸管幹細胞を起源とする可能性が考えられた。また、CD133^+CD44^+細胞、及びLGR5^+細胞は腫瘍組織の腺腔構造の内腔側、腫瘍内血管から優位に離れた位置に局在し、低酸素状態の指標であるHIF1αに陽性を示していた。これらの事からCD 133^+CD44^+細胞及びLGR5^+細胞は低酸素領域に存在する事で、幹細胞様の性質と化学・放射線療法耐性を獲得している可能性が推察された。
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[Journal Article]2009
Author(s)
谷口英樹, 大島雄二, 喜多清
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Journal Title
iPS細胞の糖尿病治療への応用―現状と課題― iPS細胞の産業的応用技術(シーエムシー出版)
Pages: 202-210
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