2008 Fiscal Year Annual Research Report
膵幹細胞を起点とした腫瘍化プロセスにおけるポリコーム群遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
20591532
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大島 祐二 Yokohama City University, 医学研究科, 客員研究員 (10468209)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 康晴 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60375235)
|
Keywords | 組織幹細胞 / 自己複製 / ポリコーム群タンパク質 |
Research Abstract |
幹細胞の「自己複製」は、細胞分化や細胞増殖などに関わる複数の遺伝子が協調しながら制御されていると考えられており、エピジェネティクスの関与が重要視されている。近年、幹細胞の形質維持に関わる分子としてポリコーム群タンパク質複合体の機能が注目されてきているが、これらポリコーム群タンパク質は様々な組織の発癌プロセスにおいても深く関連していることが明らかにされつつある。これらの背景の元、本研究では膵発癌プロセスの理解を目的として膵幹細胞におけるポリコーム群タンパク質複合体の機能解析を試みている。最近、ポリコーム群タンパク質Bmi1が様々な臓器の発癌において特に重要な機能を担っていることが報告されたことから、本年度は膵幹細胞の特性制御におけるBmi1の機能を明らかにすることを試みた。 我々は先行研究において膵幹細胞の特異マーカー(pdx1)の発現を可視化可能なpdx1::DsRed2-Tgマウスを樹立しており、本研究ではこのマウスからフローサイトメトリー(FACS)膵幹細胞を選択的に単離し、特性解析を行った。その際、レトロウイルスベクターを用いてBmi1遺伝子の過剰発現を誘導し、膵幹細胞の増殖能や分化能に及ぼす影響を検討した。その結果、Bmi1は膵幹細胞の増殖性や分化に影響を与えないことが明らかとなった。 今回の結果は、我々が先行研究において見いだしたBmi1が肝幹細胞の自己複製を「正」に制御することと相反しており、肝幹細胞と膵幹細胞の自己複製制御機構との間に存在する相違点を明らかにすることが重要であると考えた。現在、肝幹細胞と膵幹細胞におけるポリコーム群タンパク質の機能の差異について検討を進めている。
|