2009 Fiscal Year Annual Research Report
膵幹細胞を起点とした腫瘍化プロセスにおけるポリコーム群遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
20591532
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大島 祐二 Yokohama City University, 医学研究科, 客員研究員 (10468209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 康晴 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60375235)
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Keywords | 膵臓 / 幹細胞 / フローサイトメーター / ヒストン修飾 / ポリコーム群タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、膵幹細胞の自己複製におけるポリコーム群タンパク質複合体の関与、ならびに、膵幹細胞における過剰な自己複製を介した膵発癌プロセスの理解を目指している。平成21年度は、膵発癌におけるポリコーム群タンパク質複合体の機能解析を行うため、ヒト膵癌の性質や組織像を最も良く再現するモデルとして知られる恒常活性型Kras変異マウス(Pdx1-Cre;LSL-Kras^<G12D>マウス)を用いた発癌プロセスの解析に力点を置いた。Pdx 1-Cre;LSL-Kras^<G12D>マウスは膵幹細胞の特異マーカーとして知られるpdx 1遺伝子の発現制御下で活性型Krasの発現誘導が生じる特徴を持ち、膵幹細胞を起点とした膵発癌プロセスの理解において有用と考えられた。 まず、Pdx 1-Cre;LSL-Kras^<G12D>マウスの膵発癌過程における組織解析を行い、膵前癌病変(Pancreatic intraepithelial neoplasia (PanIN); PanIN)の形成時期を検討した。その結果、Pdx l-Cre; LSL-Kras^<G12D>マウスでは生後9週頃までに膵管中に粘液性の扁平上皮細胞から構成される前癌病変像(PanIN)が生じていることが観察された。次に、PanINの発生部位について検討を行ったところ、主膵管や小葉内導管に比べて小葉間導管においてPanINが高頻度に生じていることが明らかとなった。これまでに、我々は小葉間導管において膵幹細胞が存在することを見いだしていることから、膵発癌過程において膵幹細胞の活性化が生じている可能性が示唆された。 現在、膵癌モデルマウスにおけるポリコーム群タンパク質複合体の発現解析ならびに、膵癌幹細胞におけるこれら因子の機能解析を進めており、膵幹細胞を起点とした発癌プロセスの全体像の理解に努めている。
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