2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵幹細胞を起点とした腫瘍化プロセスにおけるポリコーム群遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
20591532
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大島 祐二 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (10468209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 康晴 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60375235)
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Keywords | 膵臓 / 幹細胞 / フローサイトメーター / ヒストン修飾 / ポリコーム群タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、膵幹細胞の自己複製におけるポリコーム群タンパク質複合体の関与、ならびに、膵幹細胞における過剰な自己複製を介した膵発癌プロセスの理解を目指している。我々はこれまでに、肝幹細胞でPcG遺伝子Bmi1を過剰発現させると肝幹細胞の自己複製が亢進し肝発癌に至ることを見いだしている。一方で、膵幹細胞でBmilを過剰発現させても膵幹細胞のクローン性コロニー形成は促進されないことが確認された。 平成22年度は、膵発癌プロセスにおけるPcGの役割について検討を行うため、ヒト膵癌細胞株およびヒト正常膵臓検体におけるPcG遺伝子の発現について検討を行った。その結果、ヒト膵癌細胞株(AsPC1,PL45,Panc-1,BxPC-3,HPAF-2,Capan-1,MIAPaCa-2)では正常ヒト膵臓組織に比べてPolycomb Repressive Complex (PRC) 1構成分子であるPcG遺伝子EZH2,BMI1,RING1Bの発現増加が観察された。一方で、PRC2構成因子の発現について検討したところ、PRC2構成因子の一つであるPHC1は膵癌細胞株間で発現状態に違いを認め、膵癌細胞株間でPcGの発現パターンが異なることが明らかとなった。PRC2分子は核内でmicroRNAあるいは他の因子と相互作用を行いながら、PcGタンパク質複合体の集積部位を決定する役割があるとされている。膵癌細胞における、PcGタンパク質複合体の役割を理解する上で、PRC2分子の重要性が考えられた。
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