2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591534
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
|
Keywords | 移植・再生医療 / 培養皮膚 / 抗菌ペプチド / LL37 / ウイルスベクター / hBD3 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト抗菌ペプチドの一種であるhBD3およびhCAP18/LL37の遺伝子を、組み換えウイルスベクターを用いて同時にヒト皮膚細胞へ導入し、抗菌活性の高い培養皮膚の作製を試みることである。平成22年度までに、hCAP18/LL37遺伝子をクローニングのうえ、同組み換えアデノウイルスベクターおよびhCAP-18/LL37遺伝子とhBD3遺伝子をIRSによりタンデムに連結したものを組み換えたウイルスベクターをそれぞれ作製し、ウイルスベクターの感染により細胞株等への遺伝子導入が可能なことを確認している。平成23年度は、以下を行った。 (1)作製したウイルスベクターの感染により細胞株、ヒト培養表皮細胞および線維芽細胞にhCAP18/LL37遺伝子を導入し、培養上清中へのhCAP18/LL37蛋白の分泌および抗菌活性を検討した。ウエスタンブロットにより、いずれの培養上清からもhC1AP18蛋白が検出されたがLL37は認められず、抗菌活性はほとんど見られなかった。 (2)hCAP-18/LL37遺伝子とhBD3遺伝子をタンデムに連結したものを組み換えたアデノウイルスベクターの細胞株への感染により、hCAP-18/LL37遺伝子およびhBD3遺伝子が同時に発現することが確認されたが、上記と同様にLL37は検出されなかった。 以上から、導入されたhCAP18/LL37遺伝子は各細胞内で発現し、培養液中にhCAP18が分泌されることが確認された。一般に、hCAP18は創部浸出液のペプチターゼにより抗菌活性のあるLL37に部分分解されるが、今回の培養条件下ではLL37への部分分解が起こらず抗菌活性を認めなかったものと思われる。現在、in vivoにおけるLL37への分解と抗菌活性について検討中である。
|