2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポテンシャルドナーを増やすための補助検査を用いた脳死判定に関する研究
Project/Area Number |
20591536
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
横田 裕行 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60182698)
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Keywords | 脳死判定 / 補助検査 / ポテンシャルドナー |
Research Abstract |
重症頭部外傷で鼓膜損傷を有する症例や頸椎・頚髄損傷例、あるいは視覚障害患者では脳死判定の必須項目である脳幹反射を施行すること自体が困難で、脳死判定が出来ないのが現状である。したがって、このような症例が脳死状態に至った際には生前意思が明らか、あるいは家族が脳死下での臓器提供を患者本人の生前意思を忖度した結果、脳死下臓器提供を承諾している場合でも上記の理由で脳死判定が出来ず、善意の意志が無駄になってしまうのが現状で、過去同様の事例も発生している。このような症例においても脳死判定が可能となれば、さらに3割程度の脳死下臓器提供数増加が見込める。我々が行った研究より、脳死判定における電気生理学的な手法や脳死判定のgold standardといわれる脳循環の停止をも確認することで、確実な脳死判定を行い、potential donor数の増加を図る。Potential donorの意思を最大限反映させ、本邦における脳死下臓器移植の推進に資することを目的とした。 我々の確立したABR,SSEPのモンタージュで脳死判定となる対象患者に対して経時的にこれらを測定する。平成21年度からは臨床神経学的に7つの脳幹反射の消失とABRのI,II波の消失、SSEPのN13,N18,N20の振幅、潜時や出現の有無がどのように関連するか、その際の脳循環の関係を検討した。最終年度はさらに症例数の蓄積を図り、総括を行う。このような電気生理学的手法で脳幹由来の波形がすべて消失した際に、脳血流の停止が確認されればその時点で脳死の診断が出来るはずである。過年度と同様に研究代表者である横田がこれらの詳細を実際の患者を対象に検討した。今回の我々の研究で現在の診断基準で脳死判定ができない症例であっても、SSEP等の脳幹誘発電位測定を用いることで脳死判定を可能であることが示され、臓器提供に関する本人や家族意思をより反映するためにも今後検討されるべき方法と考えられた。
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