2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制せず、オーダーメイドに移植拒絶反応を阻害する薬剤の開発
Project/Area Number |
20591538
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
吉田 龍太郎 Osaka Medical College, 医学部, 教授 (10124760)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 純子 (田代 純子) 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40340559)
|
Keywords | 移植拒絶反応 / 主要組織適合性抗原 / 受容体 / 免疫抑制剤 / オーダーメイド |
Research Abstract |
機能不全に陥った細胞、組織、臓器を持つ患者への究極の医療の一つに移植があり、移植を希望する患者(レシピエント)の数とドナーの数に大きな差があり、今国会でも臓器移植法の改正が論議されている。また、ヒト主要組織適合性抗原(HLA)が、A、B、Cのそれぞれ約30種類、60種類および10種類からなり、約2万人に1人しか一致しないと言われ、生理的反応である拒絶反応を防ぐために、レシピエントは強い副作用のある非特異的な免疫抑制剤を飲み続けており、その副作用による感染症で死亡することも報告されている。移植医療に於ける夢は、この移植拒絶反応を、オーダーメイド(ドナーのMHC特異的)に、そして、免疫抑制などの副作用なく阻害することである。 今年度、マウスでの黄金ペアーであるC57BL/6マウスとBALB/cマウスでの組み合わせで、H-2K^dに対する受容体〔macrophage MHC receptor 2(MMR2)〕のヒトホモログをコードするcDNAの単離、293T細胞やEL-4細胞での発現とそのリガンドの同定に成功した。ヒトMMR2のリガンド、HLA-B61、は、日本人の8人に一人が持つメジャーなMHCであり、我々が樹立したR12モノクローナル抗体がリガンドと受容体との結合を特異的に阻害した。臨床的薬剤の開発のために、リガンド(HLA-B61)と受容体(MMR2)の相互作用(移植拒絶に繋がる)を制御するペプチドの合成を(株)蛋白科学研究所に依頼した。 本実験中に、マウスやヒトで、自分のMHCと生来持っている受容体との間に重要なルールが見つかった。今後、世界人類の95%以上を占める8種類のHLA-Aや9種類のHLA-Bに対する受容体の構造を明らかにし、オーダーメイドに、そして、免疫抑制などの副作用なく拒絶反応を制御したい。
|