2010 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌におけるマイクロRNA発現とエピジェネティクスの統合解析
Project/Area Number |
20591569
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 史顕 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (20467426)
|
Keywords | 食道癌 / マイクロRNA / エピジェネティクス |
Research Abstract |
【目的】 食道癌におけるエピジェネティクス調節を受けるマイクロRNAの探索と機能解析である。 【進捗】 (1)食道癌細胞株18株と正常食道上皮細胞株5株のマイクロRNA発現プロファイルをマイクロアレイ法で、また、DNAメチル化情報をメチル化DNA結合蛋白質であるMBD2を用いたMIRA法と高速シーケンサーによる網羅的DNAメチル化解析によって取得した。これらの情報バイオインフォマティクスを用いてエピジェネティクス制御を受けているマイクロRNAを探索した。それにより、一連の癌細胞でDNA高メチル化で発現低下している、又は、低メチル化により発現上昇しているマイクロRNAのリストを得た。 (2) 食道扁平上皮癌の臨床組織標本由来RNAのプロファイル解析から、食道癌細胞において発現低下しているマイクロRNAとしてmiR-210を見出した。miR-210発現低下は、腫瘍の分化度と負の相関をしていた。miR-210は、食道がん細胞をG1期とG2/M期で細胞周期停止を誘導することで細胞増殖抑制効果を示した。また、miR-210がFGFRL1を標的にすることで細胞増殖抑制を誘導していることも、レポーターアッセイ等で示した。 (3) エピジェネティクスで発現制御されているとされるmiR-141の機能解析を行った。miR-141のシスプラチン感受性株での発現は、耐性株に比較して発現減弱していた。また、miR-141はYAP1を標的にすることで、シスプラチンによるアポトーシス抑制に関わっていることが示された。 (4) 食道扁平上皮癌におけるmiR-593^*発現量とPLK1発現量は、食道癌臨床標本において逆相関しており、レポーターアッセイで標的にしていることが示された。 (4) これらの知見は、食道癌の生物学的な理解を深め、microRNAやエピジェネティクスを介した新規の治療法開発に有用な情報をもたらすと考えられる
|