2010 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的特性からみた食道扁平上皮癌の新しい治療方針の確立
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20591582
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30299614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 憲司 産業医科大学, 医学部, 助教 (40369062)
重松 義紀 産業医科大学, 医学部, 助教 (10546469)
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Keywords | 食道癌 / 扁平上皮癌 / ERalpha / ERbeta / 抗腫瘍効果 / topoisomerase-I / topoisomerase-II / HLA |
Research Abstract |
昨年度は、食道癌におけるトポイソメラーゼIの発現解析を行い、CPT-11の効果予測が可能か検討を行った。今年度は、アンスラサイクリン系の抗癌剤の感受性の指標となるトポイソメラーゼIIaの発現の解析を免疫組織学的染色法にて行った。抗体は、TOP-II.(Novocastra)を用い、判定は50%以上の陽性細胞を認めたものを陽性、50%未満を陰性とした。トポイソメラーゼIIaの発現の陽性例は29例中16例で陽性率55%であった。病理病期別に検討すると陰性例では0期:1例(8%)、I期:1例、II期:5例、III期:2例、IV期:4例で、陽性例では0期:0例、I期:2例、II期:6例、III期:7例、IV期:1例であり、両群間に有意差は認めなかった。予後については、陽性例5年生存率は52.4%で陰性例では5年生率が18.5%であり、陽性例において予後良好の傾向にあった。 次に、免疫療法を行う上で重要なHLA class I分子の発現と臨床病理学的因子の解析を行った。抗体は、HLA class I抗体(EMR8-5)を用いて免疫組織学的染色を施行した。発現率80%以上を正常発現、20%以上80%以下を低発現、20%未満を重度低発現と分類した。結果は、正常発現2例、低発現23例、重度低発現4例であった。病理病期別の解析では、正常発現に比べ低発現・重度低発現症例でより病理病期の進行した症例が多かった。予後を比較すると、正常発現の5年生存率は100%であるのに対し、低発現28.2%、重度低発現37.5%と正常発現に比べ、低発現・重度低発現では予後不良であった。 トポイソメラーゼIIaおよびHLA class I分子の発現は、いずれも陽性例において、予後が良好である傾向が認められた。今後も食道癌の予後因子および治療効果予測因子となる分子の検討を進めていく。
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