2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌化学療法とがんワクチン療法におけるストレス誘導蛋白発現の意義
Project/Area Number |
20591584
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Research Institution | Tazuke Kofukai Medical Research Institute |
Principal Investigator |
上田 修吾 財団法人田附興風会, 医学研究所第1研究部, 主任研究員 (80372580)
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Keywords | 抗癌化学療法 / がんワクチン療法 / 消化器癌 / チオレドキシン / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
肝転移を有する進行胃癌患者と進行結腸癌患者で抗癌剤治療を受けた患者の血清を経時的に採取凍結保存し、血清中に含まれるストレス誘導性レドックス制御蛋白チオレドキシン値をELISA法で測定した。1名の結腸癌患者で11回目の抗癌治療時にプラチナ系抗癌剤によるショックを生じたが、その前後で血清チオレドキシン値に特に変化を認めなかった。従来の我々の検討では血清チオレドキシン高値が抗癌剤の副作用である間質性肺炎発症と相関することが示唆されていたが、今回の結果血清チオレドキシン値と抗癌剤によるショックとの関連は認められなかった。また、他の患者において抗癌剤投与1-2日後に血清チオレドキシンが高値を示したが、同値は抗腫瘍作用による腫瘍崩壊と相関する可能性が示唆された。抗癌剤による骨髄抑制のため白血球数減少を生じうるが、血清チオレドキシン値は白血球数やCRP値とは必ずしも相関しなかったため、抗癌化学療法における抗腫瘍効果の新規マーカーとなる可能性も示唆された。 一方、標準治療に抵抗性となった進行・再発食道癌患者の中でがん抗原NY-ESO-1陽性症例を対象にがんワクチン療法を実施し、抗腫瘍免疫誘導を検証する目的で、血清、末梢血単核球を分離凍結保存した。ワクチン投与により血清中NY-ESO-1に対する抗原特異的抗体値上昇を認め、ワクチンによる抗腫瘍免疫誘導が確認された。これら患者の血清チオレドキシン値は腫瘍増大期に一致して著明に上昇を認めたことより、ワクチンによる抗腫瘍作用のサロゲートマーカーとなりうることが示唆された。
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Research Products
(3 results)