2008 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞をキャリアー細胞とした消化器癌に対する改良型ウイルス療法の開発
Project/Area Number |
20591585
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
田川 雅敏 Chiba Cancer Center (Research Institute), 病理研究部, 部長 (20171572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 千葉県がんセンター(研究所), 消化器外科, 主任医長 (20292691)
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Keywords | 食道がん / アデノウイルス / 初期応答遺伝子 / 細胞傷害活性 / 間葉系幹細胞 / CD46分子 / ウイルス受容体 |
Research Abstract |
進行した固形腫瘍はしばしば治療抵抗性であり、有効な治療手段に乏しいのが現状である。そこで、腫瘍局所の直接的破壊を、細胞傷害活性を有するアデノウイルスで行おうとするのが本研究の目的である。このような腫瘍破壊であってもウイルスで行えば、適切な抗原提示という条件下で生体防御反応を刺激することができ、これが免疫応答を一般的に抑制する化学療法や放射線療法との違いである。そこで、初期応答遺伝子でウイルスの増殖の最初の段階を制御するE1A領域を、ヒトの腫瘍で高発現の転写調節領域で制御するウイルスを作成し、食道がんに対する細胞傷害活性を検討した。その結果、傷活性は惹起されていたが、その活性は当該ウイルスの受容体発現によっても左右されていた。そこで、食道がんで高発現のCD46分子を受容体とするタイプ35型ウイルスの受容体結合領域の遺伝子を組換えた細胞傷害性ウイルスを別途作成し、その抗腫瘍効果を検討すると、この改良型のウイルスは、非改良型よりも強い殺細胞作用を誘導した。このとき、正常細胞も対照として利用したが、正常細胞に対する効果は食道がんを標的とした場合よりも、弱いものであった。また、正常細胞に対する感染効率は改良型がより優れており、細胞増殖にリンクする転写調節領域を用いれば、インビトロで当該領域は正常細胞でも転写活性化能を有することができる。この事実は間葉系幹細胞を使用しても同様であった。そこで当該ウイルスをインビトロで当該正常細胞に感染させて腫瘍局所に投与し、そこからウイルスを持続的に放出させることによって、より強い抗腫瘍効果を得ることが可能であると考えられる。
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Research Products
(2 results)