2009 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞をキャリアー細胞とした消化器癌に対する改良型ウイルス療法の開発
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20591585
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
田川 雅敏 Chiba Cancer Center (Research Institute), がん治療開発グループ, 部長 (20171572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 東邦大学, 医学部, 教授 (20292691)
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Keywords | 遺伝子医薬 / アデノウイルス / コクサキーアデノウイルス受容体 / CD46分子 / 食道がん / p53遺伝子 / 細胞傷害活性 |
Research Abstract |
固形腫瘍では様々な理由で治療抵抗性を示し、その予後の改善は重要な課題である。とりわけ進行がんに至っては有効な治療手段に乏しく、新規治療法の開発によって従来の化学療法、放射線療法以外にも治療選択肢の拡大を図れる利点がある。そこで、腫瘍局所の直接的破壊を、細胞傷害活性を有するウイルスで行う遺伝子医薬の基盤開発が本研究の主眼である。腫瘍局所の破壊であっても、ウイルスは生体防御反応を刺激することができるため、抗腫瘍免疫応答を誘導できる可能性があり、従来の治療法とは大きく異なる利点を有している。そこで、本目的のためアデノウイルスの増殖と標的細胞の細胞周期を制御するE1領域の発現を、ヒトの腫瘍で高発現である遺伝子の転写調節領域で制御するウイルスを作成した。さらに当該ウイルスの受容体結合領域を、食道がんで高発現のCD46分子を受容体とするタイプ35型ウイルスの受容体結合領域へと改良し、殺細胞効果を有する遺伝子組換えウイルスを作成した。その抗腫瘍効果を検討すると、この改良型のウイルスは、非改良型よりも食道がんに対して強い殺細胞作用を誘導した。ヒト食道がん細胞への遺伝子導入効率を検討すると、野生型p53遺伝子を有する細胞の方が、変異型よりタイプ5型ウイルスの受容体であるコクサキーアデノウイルス受容体(CAR)分子の発現が高く、感染効率がp53変異の有無によって予測されうることが判明した。しかし、ウイルス増殖によって細胞死を誘導する当該ウイルスの殺細胞効果は、必ずしもCAR分子の発現・感染効率に強く相関せず、標的細胞の細胞死誘導機構の活性化レベルによっても影響を受けていることが明らかになった。一方正常細胞に対しては当該ウイルスの殺細胞効果は弱く、これは外来性転写調節領域が正常細胞で活性化しないという理由のほかに、正常細胞の細胞増殖レベルが低いためウイルス増殖にとって不利であることが挙げられる。
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Research Products
(3 results)