2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌化学療法効果の分子生物学的評価のための蛋白定量解析
Project/Area Number |
20591594
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大塚 幸喜 Iwate Medical University, 医学部, 講師 (50316387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西塚 哲 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50453311)
若林 剛 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50175064)
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 癌 / バイオテクノロジー / 病理学 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
がんの薬剤治療の効果判定には、腫瘍の縮小・不変・増大などの概念が用いられるが、生物学にはいずれも非常に複雑な事象の終末像である。従って、それぞれの終末像に対してどの程度薬剤が関与していたのかを評価ずるには、がん細胞が分子レベルでどのように薬剤に反応していたかを知る必要がある。薬剤に対する分子の反応は添加後の時間や濃度など複数の因子によって変化するため、その評価が難しい。また、反応する分子の種類が少数であることはむしろまれで、多数の分子群を同時に評価できることが望ましい。本申請では、多種類の蛋白についての定量的モニタリングに特化した方法である高密度逆相蛋白マイクロアレイ(RPA)を用い、大腸癌の化学療法に対する試験管内モデルの確立および臨床検体での検証により、より的確な薬剤の治療効果判定法あるいは予測法の確立を目指す。現在まで以下の事が明らかとなった。(1)同程度の薬剤感受性を示す場合もその機序は細胞周期停止やアポトーシスなど優位な現象は異なっている。(2)薬剤による同様の効果が得られる場合でも、それに至る分子系路は一様ではなく薬剤依存性の経路が存在することが示唆された。(3)薬剤の一時的および恒常的な接触の観察では、DNA傷害性薬剤(CDDPなど)は一時的な接触で十分な効果が期待できる一方、5-FUの様な代謝拮抗剤では一定の濃度を維持することが薬剤反応には必要であることが示唆された。また、培養細胞を用いた5-FUの効果予測マーカーのいくっかの候補を同定しており、本年度は術後補助療法の効果と切除検体での予測マーカーの発現を比較し、その臨床的意義を検討する。
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Research Products
(3 results)