2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591609
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
波多野 悦朗 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (80359801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
新田 隆士 京都大学, 医学研究科, 助教 (40456877)
安近 健太郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00378895)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60263084)
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Keywords | 癌 / ストレス / アポトーシス |
Research Abstract |
肝疾患の進展、肝細胞癌の発生、増殖における小胞体ストレスおよびCHOPの役割を明らかにするため、以下の実験をおこなった。 実験1)野生型(WT)マウスとCHOPノックアウト(KO)マウスに対し総胆管結さつを行い、急性期肝障害(2日後)と慢性期障害である肝線維化(14日後)を評価した。上記マウスより肝細胞を分離培養し、胆汁酸glycochenodeoxycholic acid (GCDCA)に8時間暴露し、アポトーシスとネクローシスを評価した。WTの肝臓では総胆管結さつ後2日後からCHOPとその下流の因子であるBax, Bcl-2の発現が上昇し、14日後には肝線維化が認められた。CHOP KOマウスではBax, Bcl-2の発現、肝線維化いずれも軽減されていた。また、WTではα-smooth muscle actinの発現上昇とTGFβ1の発現上昇がみられたが、CHOP KOマウスでは抑制されていた。さらにCHOP KOマウスではアポトーシスとネクローシスの両方が抑制され、AST, ALTの上昇も抑制されていた。WTマウスから分離された肝細胞をGCDCAで処理することにより、CHOP, Bax, Bcl-2の発現が誘導され、caspase-3の活性化およびpropidium iodide陽性細胞の割合が増加した、CHOP KOマウス肝細胞ではこれらの変化は抑制されていた。以上より胆汁鬱滞性肝障害においてCHOPが重要な役割を果たしていることが明らかになった。 実験2)ヒトの肝細胞癌手術標本を用いて癌部、非癌部のCHOPの発現をWestern blottingにて検討した。正常肝に比べB型肝炎、C型肝炎の障害肝でCHOPの発現は亢進し、癌部でも高発現であった。今後、これらの肝細胞癌でのCHOP発現の意義を明らかにしていく予定である。
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